いまさらだけど 「なずなさん、起きて。朝だよ」 昨日突然現れた異世界から来た彼女を起こす。 「んぁ…むぅー……」 一行に起きない。仕方ないので、台所まで言って恒例のアレを用意する。息を吸って… 「朝だぞ!起きろ、初日から遅刻する気か!」 「うっ…はようござーます」 眠い目を擦る。そうだ、あたしトリップしたんだった。 「あれ、なんであたしベッドに…」 「昨日リビングで寝てたから勝手に運ばせてもらった」 「ども、ありがとう。……じゃなくて!重かったでしょ、ごめん。しかもベッドまで借りちゃったし」 「大丈夫、それより朝ご飯食べないか?」 食卓には輝くばかりの朝ご飯たち。 「あー、筧くんの手料理食べれるなんて幸せ」 「はいはい。食べたら、着替えて」 「うん。あのさ、今更なんだけど…」 「いていいよ。なずなさんいる方が家の中が明るくていい」 「うるさいっても聞こえる」 「ひねくれてんな」 「そう、おかしいの、あたし」 そう言って席を立ち、制服に着替えに行く。素晴らしいことにサイズもあってて、バックの中を見れば教科書やノートなど必要なものが揃ってた。 実に不思議。まあ、困らなくていっか。 「なずなさん、鍵閉めるから早くでて」 「はーい」 昨日のように電車に乗って、筧くんと歩く。学校に着くまでの間穴があくほど周りから見られた。まあ、筧くんいろんな意味で目立つから。 「筧ー、おーはよっ」 「おはよう」 「はよー、水町くん」 「ンハ!昨日の子!」 「桐野なずな、高2だよ」 「なずな先輩!」 「なずなでいいよ」 「じゃあ、なずななっ」 「うん」 大男ふたりに挟まれて職員室まで案内してもらったら、ふたりは教室にむかった。あたしは、職員室のドアを叩いた。 「転校して来た桐野なずなですけど、」 「貴女が桐野さんね。私が担任の杉山です。じゃ、教室行きましょうか」 担任の杉山先生は通称すーさんと言われてるらしく、30代後半くらいの優しそうな女の先生。なんかやってけそうな気がする。 「今日から新しくこのクラスに転校生が来ます。さあ、入って」 「はじめまして、桐野なずなです」 ここが私の新しいスタート地点。 ▼ |