どう思うだろう?
彼らが漫画の登場人物だと知ったら……








「急にそんなこと言われても困るよね」


「信じられない。ふざけてるのか」




筧くんに睨まれる。しょうがないよね、あたしだってそう思う。




「驚くかもしれないけど、あたしの世界で貴方たちは漫画のキャラなの」


『ハッ?』




すっごい馬鹿にしてるね。さすがに、あたしだってつらいぞ!




「つまり、あたしからしたら二次元の世界なの。だから、みんなのことも知ってる」


「俺らが漫画になってんの!すげー!!」


「うあう、ちょ、おえっ」


「水町、離してやれ」


「ちぇっ」




うわ、いじけてんのに可愛い!




「信じられないって顔してるね」




はー、とため息をひとつして息を吸うと、




「筧駿。巨深高校1年。ポセイドンのLBで、帰国子女。身長は191センチ、体重78キロの6月6日生まれの16歳。血液型はAで、特技は英語」




言い終わり一息つき、筧くんを見上げれば、笑顔をひとつ。




「どう?まだ信じられない?」




初めて会った女にプロフィールをすらすらと言いあてられた。それも、正確に。




「なんなら他の人のも言おっか?水町け…」


「すまなかった。グランドに倒れてた時点で不思議だが、まさか異世界からきたなんてな」




ありがとう、と今度は普通に笑った。




「なあ、どんなとこにいたのー?」


「こことなんら変わりない世界よ。違う点は、ただ貴方たちがいないだけ」




ん、待って。てことは……




「あたし、住むとこないじゃん!」


「確かにそうですね」


「お金もないけど、野垂れ死ぬのだけはごめんだよ」




なんて話してると手元が光った。光りは次第になにかに変形した。手の上には手紙らしき封筒があった。




「な、なんか魔法みたいっすね」


「カード?あ、まだなんかある」




一緒に入っていた紙には、どこかの住所が書かれていた。




「つまり、この場所に行けってこと?」


「俺の家の住所じゃねーか」


「はい?」




つまり筧くん宅で暮らせってことなのか?




「仕方ない、とりあえず確かめに来るか?」


「ありがたく、おいとまさせて頂きます」


「ンハ、時代ちがーう」




とにかく宿確保。雨が酷いので練習ももう切り上げるらしい。筧くんを待ってから、一緒にあたしは筧くん宅へ向かった。