降りしきる雨のグランドにひとりの少女をみつけた








【if Change the World】








いつもと変わらない毎日。今日もそんな日になるはずだった。




雲行きがあまりよくないなかのアメフトの練習。中盤にさしかかったところで小雨だった雨がバケツをひっくり返したような大雨に変わる。




俺たちはとりあえず雨宿りの為に近くの屋根があるところにむかう。




「ンハー!びっしょ濡れだー」


「せっかくいいとこだったのに」




口々に悪天候に対して愚痴をこぼしていた時だった。




バシャッ!!




音をしたほうを見れば、誰もいないはずのグランドの真ん中にひとりの女の子が倒れていた。




誰がどう考えても不自然だ。あそこに行くまで足跡は立つはずだし、第一この雨の中倒れるなんてことするもの好きはいないだろう。




「筧先生、あのままじゃあの子風邪引くよね」


「んじゃ俺連れてくるー」




そういうなりまだ降り続ける雨の中水町がグランドへ走る。






「おーい、だーいじょぶ?」




つっついて見ても反応なし。




「よっこらせっと」




抱き上げて、筧たちがいるところまで走った。






「渋谷、タオル取ってきてくれ」


「で、どうするんすか?」


「話を聞かないことには仕方がない。起こすしかないだろ」




軽く肩を叩きながら、身体を揺すった。身体が微かに動いたかと思うと、目を覚ました。




気がついたら、知らないところにいた。しかも、何故がずぶ濡れで。周囲の音で雨が降っていることがわかった。




まだ、ぼーっとする頭で状況を理解しようとした。




「…………」


「さっきまで君はあのグランドの真ん中に倒れてたんだ」


「俺が運んだんだぜ」




金髪のこれまたおっきい人が笑いながら言う。




「あ、りがとうございます…」


「君は何者なんだ?どうして急にあんなところにあらわれた?」




またまた大きい人。でも、さっきの人とは違う。息をするのも忘れてしまいそうな威圧感が襲いかかった。




「…わからない。気がついたら、ここにいた」


「学校終わって、帰ってたことは覚えてるんだけど……その先が思い出せない」




思い出せ。なにがあったか。白い靄がかかったままで何もわからない。




「―っ!」


「な、大丈夫か?!」


「あ、たまが痛い…」


「無理に思いださなくていい。悪かった」




首をひとつ横に振る。マネージャーらしき女の子からタオルを受け取り、髪を拭く。




「あの、名前聞いていいですか?」


「俺は筧駿」


「水町健悟!健悟って呼んでー」


「じゃあ、水町くんで」


「僕が筧先生の一番弟子の大西洋。でこっちが大平洋」


「俺が一番弟子だ!」




取っ組み合うダブル洋。




てか、




「ひとつだけわかりました。ここはあたしのいた世界じゃない」




時間が停止したかのようだった。




あたしは、重い口を開き、話し始めた。




彼らの物語のことを―














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