さあ、始めよう








「かーけい、赤羽さんたちに妬いてんだろ」


「んで妬くんだよ」


「なずなが赤羽、コータローってうるさいからに決まってんじゃん!」


「っ、今は試合に集中しろ」


「素直じゃねぇなー」




巨深のキックオフで試合が始まった。




あたしはジュリに頼んでスコアのつけ方を教えてもらいながら試合観戦。




「スコアの書き方わからないなんて大丈夫?」


「あたし頼まれて、最近マネになったの。ルールもまだ勉強中で…。迷惑かけちゃってごめん」


「ううん、あたしこそなんも知らないくせにごめん!わかんないことあったら、どんどん聞いて。なんでも教えちゃうから!」


「ありがと、ジュリ」




ピー




巨深のタッチダウンが決まる。キックも入り、気付けば−。




「同点か…」




また練習とは違った試合独特の緊張感。ひとつのボールを追う彼らの姿に目が釘づけになった。




やっぱりアメフトやってるときのみんなが好きだなー




くはっ!赤羽、ヘルメットとったときセクシー!!




「あ、前半終わったみたい。また後半でね、なずな」


「うん、後で」




スコアを持ってみんなのところに戻る。タオルとドリンクを渡しながら、筧くんにスコアを渡す。




「ジュリに教えてもらって書いたんだけど、大丈夫?」


「ああ、わかりやすいよ」


「筧先生、次ここを…」




筧くんはみんなを集めて、作戦を伝えてる。いつもと違う筧くんにドキっとした。




すごく楽しそう。アメフトやってるときが1番みんな輝いてる。すごいアメフトが好きなんだな、て見てるほうまで伝わってくる。




「なずな、なずな!」


「なに、水町くん?」


「勝ったら筧になんかご褒美やってよ」


「なんで?」


「今はひっみつー。じゃ、よろしく!」


「はっ?ちょ、水町くん?!」




どういうつもりだ、水町健吾?!主旨を言っていかんか、主旨を!




混乱した頭を落ちつかせる。ご褒美なんてなにがいいのか…。スコアをとりながら、また別のことで頭を悩ます。




笛の音が後半戦開始を告げた。