とうとう来ちゃいました








目の前には盤戸高校の校門。グランドまで行けば赤羽にコータローに……ふははは。




「気持ち悪っ」


「なに、筧くん。具合悪いの?ダメじゃない、早く言わないとー」


「いや、お前がだよ」




盤戸との練習試合が決まってからというもの今日までずっとこの調子。




正直かなりうざい。家でも赤羽さんやコータローさんのことずっと話してるし。




「……ムカつく」


「?ごめん、聞こえなかった」


「なんでもねえよ。ほら、行くぞ」




頭をぐしゃっと撫でてグランドに向かう。




「筧くん、ご機嫌斜めだね。反抗期?」


「なずな先輩って鈍感なんすね」


「大洋に言われるとか、ペコペコにへこんだアルミ缶なみにへこむわ」


「たとえ長っ!」




なんやかんやでグランドに着く。先に歩いてた筧くんに呼ばれたのでとりあえず荷物を置き、筧くんのところまで走る。




「今日はよろし…」


「ぶふぅっ!あっ、あかか!コータタ…痛っ」


「落ち着け。そして、とりあえず喋るな」




痛みだした舌を苦々しく思い、こくこくと首を縦にふる。




「改めて今日はよろしくお願いします。こっちはマネージャーの桐野なずなです」


「おおおお、お願いします!」


「よろしくな!俺が佐々木コータローで、こいつが赤羽隼人」




うん、知ってるよ。




「じゃあ失礼します。ほら、行くぞ」


「もう?!いや、まだ目の包容が…ぎゃあああ!!」




首を掴まれそのままズルズルと巨深側に到着。




「なんか変わった奴だったなー」


「フー」




「なままま、生で見た!」


「…よかったな」


「うん!でも、筧くんも好きー」




いらついて言葉を返せば突拍子もない言葉が帰ってきた。顔に熱がこもる。




「勝ってくるよ」


「じゃ、負けたら鼻から牛乳ね」




自然と気分も落ち着いていた。ヘルメットを持って俺はグランドへ踏み出した。