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「…アンタって意外と賢かったのね」

テストの結果が張り出された日、友人は私に言った。それどういう意味?って聞いたら友人は黙った。失礼だな、まったく。

「鬼道くん、凄いな…」

思わずボソリと呟いた。鬼道くんは学年1位だった。こういうのを見ると改めて凄い人を好きになったなと思う。なんというか、高嶺の花だよね。

ていうかさ…

「不動くん賢くない?」

「当たり前だろ」

私の頭の上にポスっとノートを置きながら不動くんは言った。なんだこいつは。人のノート毎回毎回借りてるくせに学年2位とか絶対おかしい。

「毎回毎回ノート借りてくるのに古典私より点数上とかどういうことなの…」

「お前も充分出来てるだろ」

「そうかな」

充分だろ、学年23位。そう言って不動くんは帰ってった。私の順位はっきり覚えてたのが意外で小さく笑ってしまったけれど、不動くんには届いていないようだった。


昼休み、友人が私に言った。

「アンタらって付き合ってんの?」

「アンタら…って?」

とぼけないでよ、みたいな顔をして友人は言う。

「不動よ不動よ。渡もあの2人どういう関係なんだって私に聞いてきたし」

「渡?」

不動くんと付き合ってるとかそういうことを言われるのは少し複雑なんだけど。そして突然聞く知らない人の名前に首を傾げる。というか知らない人にどういう関係とか聞かれてる当たりがまたなんだか複雑さが増す。

「ああ、そっか知らないわよね。私の幼馴染で、サッカー部の辺見渡っていう奴なんだけどね、廊下でアンタらが話してるの見たらしくて。私と仲いい子だって言うのは知ってたらしくてそれで私に聞いてきたみたい」

「サッカー部なのか」

聞いたことはないけど。全く顔もわからない。誰なんだ!あまり知らない人に噂されるのは嫌だなあ。

「で、付き合ってんの?」

「そんなわけないよ…私鬼道くんが好きだし」

「えっ」

この子になら言っても構わないかと思い、小声で言えば友人が驚いて大きな声を出しかけたので必死に口を塞ぐ。友人が落ち着いたのを見て手を離す。

「凄い意外なんだけど」

いやまあ言ってないですからね、そりゃね意外かもしれないよね。これ秘密だからねと念を押す。友人はわかったわかったと手を上げる。

「意外だわほんと意外だわ…アンタが賢かったのも意外だし今日は衝撃的な一日だわ」

その日一日友人はそう繰り返していた。失礼だなとは思ったけれど、帰ってから友人が「協力するわ」とRINEを送ってきてくれていた。有力な協力者がまた一人増えたな、と少し頼もしかった。



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