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あれからまたしばらく経ったけれど鬼道くんと話せたことはなかった。同じクラスでもこんなに遠いものなのか、と悲しくなる。それに対して違うクラスとはいえど不動くんは古典の度にノートを借りてくる。つまり週3の頻度で会うのだ。毎度毎度借りる必要あるの?って聞いたら予習が面倒だからと言っていた。まあ、私も鬼道くんの話とか聞いてもらうし(格好いいとかそんなレベルだけど)、たまに苦手な英語教えてもらったりするからおあいこ様だ。

そんなこんなで今日も不動くんは私のノートを持っていったんだけど、珍しく今日は返しに来ない。まずいなぁ今日は私のクラスでも古典あるんだ。不動くんも知ってるはずなんだけどな…仕方ない、取りに行こう。今まで不動くんが返すの忘れたことはなかったし、なんだかんだで理数科のクラスに踏み入るのは初めてかもしれない。

理数科とか入ったことないし、知り合いも不動くんしかいない。ビクビクしながら扉を開けて教室に不動くんがいないか確認するけれども見当たらない。席を知ってたらいいんだけど、席も知らない。どうしよう。

「誰かに用か?」

立ち往生していたら後ろから声をかけられた。扉の前にいたのだから当たり前かもしれない、邪魔だもの。振り返ると声をかけてくれたのは眼帯の男の子だった。

「うん、あの、不動くんいるかな?」

「不動?あー授業終わりに先生に呼ばれてたな。まだ帰ってないみたいだぞ」

眼帯の男の子は不動くんの名を聞いて不審そうにしたけれど素直に教えてくれた。

「席、わかるかな?ノート取りに来たの」

「あ、もしかして古典のノートか?」

眼帯の子が心当たりのあるような顔をしたのでびっくりしたが、そうだと伝えると不動くんの席から取ってきてくれた。不動くんの席、あそこなのか。

「はい、これだろ?」

「うん、ありがとう、でもなんでわかったの?」

「この前不動にしては可愛いノートだと思って見たら女の子の名前書いてあったからな。アイツ毎時間借りてるんだな」

そう言って苦笑する眼帯の男の子はなんか女の子みたいだった。髪の毛長いから、少しそう思ってしまった。

「でも助かったよ、ありがとうね」

もう一度お礼を言って、私は自分の教室に戻った。
親切な人がいてくれたから助かったけど、これは不動くんにひとつ貸しだな、なんてね。


昼休みになってすぐ、友達とご飯を食べようと集まっていた時に不動くんは私のところに来た。

「悪かったな」

開口一番謝罪だったので私は少し面食らってしまった。普段は悪態ついてても根っこは真面目なんだな、やっぱり。

「ううん、大丈夫だよー。眼帯の子が事情教えてくれたし。先生に呼ばれてたんなら仕方ないよ」

ヘラヘラとそう笑って言えば、不動くんはもう一度「悪ぃな」と言って教室から出ていった。横に友達がいたからかな、今日は口数が少なかったな。不動くんが出ていったら、横にいた友達が待ってたというように口を開いた。

「前から思ってたんだけどアンタらどういう繋がりなの?不動が女子と話してるのとか初めて見たんだけど」

「え?そうなの?」

不動くんモテそうなのに意外だ。話もちゃんと聞いてくれるし、仲良くなったら意外と不動くんからもいっぱい話してくれるし。仲良くなるまではちょっと大変だったけど。彼の悪態に慣れるまでが。

「そうよ。どういう経緯になったわけ?」

どういう経緯と言われてもなぁ…ぶつかったから、ってのは理由になってないし…なんというか

「な、成り行き?」

ハア?と友達は呆れ声を出した。



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