「いのとユズは私と待機。キバ、回り込める?」

「っし、らくしょーだぜ!行くぞ赤丸!」

「デコリーンに指示される日が来るなんてねえ」

以上、木の上をかなりのスピードで移動しながらの忍者の会話である。正直疲れたのでスピード落としてほしい所存であります。言わないけれども。
今のところはついていけているが、前の三人は息を乱すことなくバク転でも決めそうなノリで進んでいる。ここ最近改めて思う。忍者すげえ…
アカデミーの時は、キバはともかく女子二人と大した差はなかったはずなんだけどなあー。年かな?体はぴちぴちの十代なんだけど…

ぐんとスピードを上げたキバを見送って、いのは右に、私とサクラは左に逸れて、互いに少し距離を取ってから身を隠す。
しばらくすると、赤丸の鳴き声が森の中に響いた。一回、二回、少し間を開けてもう一回。合図だ。

「よし、来るわよ。準備はいい?」

「合図、しっかりね。ユズ」

「りょーかい」

息を潜めていると、木々の間を転がるように駆けてくる猫が一匹、真っ直ぐこっちに向かってきた。さすがはキバと赤丸、こんな森でも地形は完璧らしい。猫って追いかけるの大変だと思うんだけどなあ…
十分に引きつけてから、声を張り上げた。

「せーのっ!」

三人で一斉に手元にある札にチャクラを込めると、三角形を結ぶように透明な壁が浮かび上がる。よし!今回も不具合は無し!

「任務、完了だな!」

いつの間に追いついていたのか、キバと赤丸が木の上で誇らしげに胸を張った。あんだけ走っても息切らさないのはすごいと思う。思いますから、だから降りてきてくださいー


「それにしてもユズの札は便利ねー」

「ほんとほんと!今日で三匹目よ。信じられないわ」

「いや…キバと赤丸のがすごいよ。あんなにピンポイントで追い込めるし」

「あんなもん俺達にかかりゃ朝飯前だっつーの!なー赤丸ー」

誇らしげに吠えた赤丸にそっと手を伸ばすと、しめった鼻を押しつけられた。
うわーかわいい。

ここ最近の私達の任務は主にペット探しである。どうやら1日に3匹はハイペースらしい。感知はキバに任せてるし、結界札の試作も兼ねられるので私としては万々歳だ。楽なお仕事うれしい!

キバの頭の上に乗った赤丸を撫で回していると、後ろを歩いているいのが閃いたように声を上げた。

「ねえサクラ。私はサスケくんのお見舞いいくけど、アンタはどうする?」

「抜け駆けは許さないわよ!私も行くわ。…あと、リーさんも」

「あ、そういえば…サクラ、そのリーさんのこと聞いた?…リーさん、もう二度と忍びとしてやっていけない体になっちゃったって…」

「…えっ?」

ああ、そういえばそうだったなあ。
後ろの重い話題に耳を向けないよう、赤丸を撫でる手を少し強めると、隣のキバが何か言いたげにちらりと目を向けてきた。
危ない危ない。“私”はロック・リーを知らないんだから、動揺しちゃダメだ。

暗い雰囲気を打ち消すように、明るい声が飛んでくる。

「じゃ、行きましょっか。お花買ってかなきゃね。キバ、アンタはどーする?」

「俺はパスだぜ。かーちゃんから呼ばれてんだわ」

「そ。じゃ、私達だけで行きましょ」

「そっか、じゃーね二人ともー」

赤丸に手を載せたままもう片方の手を振ると、女子二人が首を傾げた。

「何言ってんのユズ。あんたも行くのよ」

「は?いやいや、何言ってんのサクラ。そもそもサスケと関わり無いしさ…リーさんって知らないし…」

「サスケくんはあんたのこと知ってたわよ」

「え、アカデミーでも話したことないけど…?」

「もーめんどくさいわね!ほら行くわよ!」

いのにぐいっと手を引かれてフラつきながらも歩き出す。赤丸のワンという鳴き声が、「頑張れー」と言ってるように聞こえた。くそー薄情者め。

いのに引かれるまま二人の後をついてく
リーさん… ロック・リーはたしか今、忍者をやめろと言われてる頃合いだ。
正直に言って、会いたくない。面識ない人が落ち込んでるのをわざわざ見にいく趣味はないし、向こうだって知らない人に励まされたくはないだろうし。

サスケは…最近カカシさん見ないし、二人で千鳥の練習してるんじゃなかったかな。本戦に超遅刻してきた覚えがある。


よし。サスケの病室行ったら即逃げよう。






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