「おぬしに短期間だけ任務をお願いしたくての。安心せい、Dランクじゃ。里内のもので危険はほぼない」

「……は?」

火影室に入ると、煙管を咥えた三代目が唐突におかしなことを言い出した。何を言っているんですかこのじいさんは…
思わず開いていた口を閉じて、小さく息を吸った。こういう謎ドッキリ良くない。どういうこった。

「あの、私忍者じゃないんですけど…」

「それは分かっておる。だがこちらも人手不足でのう。中忍試験でルーキーが予想以上に活躍をしたんで、下忍が足らぬのじゃ」

「い、いやいや、下忍ならいっぱいいますよね?中忍以上に任せても…」

「今、貴重な人員をDランク任務に割くわけにもいくまい。例えそれが下忍でもじゃ。おぬしなら分かるじゃろう?」

眉間にシワを寄せつつこちらを見た三代目から目をそらす。
まあ確かに木の葉の下忍はルーキーがかなり残ったし、二年目三年目にDランクばっかり任せるわけにもいかないか…
ハヤテさん助けたせいで、砂と音が手を結んでるのモロバレしたから警戒はかなり強まるだろうし… おっと、この辺私はよく知らないことになってるはず。

「何か物騒な事が起きてるってことしか分かんないんですけど…そんなに危ないんですか?」

「まあ、念には念をということじゃ。おぬしなら信用もあるしのう。それに任務を受ければここでの商売もやりやすくなろう。お互いに損は無い」

「確かにそうですけど… いやでも、アカデミーに戻った…下忍になれなかった同期も多いです。私を今更忍者にしたら、批判の的になるのは三代目なんじゃ?」

「おぬしに手伝ってもらおうと思っておるのは中忍試験までの一ヶ月だけじゃ。Dランク任務のみを任せるつもりじゃし、羨む者はそうおらんじゃろうて」

詰めていた息を大きくはいた。つまりこのじいさんは私に一ヶ月雑用係をしろと仰っているんですね…?まあいいですけども…どうせ暇だしペット探しくらい手伝いますけど…

「あーっと、給料はもらえるんですよね」

「そりゃあもちろん。呼び出した時に来てくれれば構わぬよ」

「…じゃあ、やります」

「そう言ってくれると嬉しいわい」

この人の良さそうな笑い方でこの世の中を生き残ってきたのか…と思う。
うまく丸め込まれた気がしてならないけど、まあ言われた通り私に損はないからなあ。

「失礼します。火影様、俺になにか…あ、お前…ユズか!」

「あー、キバ。久しぶり」

「おお、仲は悪くないようじゃの。ユズ、おぬしにはこのキバと、春野サクラ、山中いのでフォーマンセルを組んでもらおうと思う」

「は?じゃあ助っ人ってこいつですか?つーかお前、アカデミーに戻ったんじゃ…」

「えっと…アカデミーには戻らなくてね、今ちょっと別の商売を…」

「失礼します。火影様、私達に何か…あ、ユズ!」

「もしかして助っ人ってアンタ?じゃあ一緒に任務出来るのね!」

…うん、カオスだ。というか他の三人が言うに、おそらく私の説明はほとんどされてなかったんだろう。
助っ人って…助っ人にもならないと思うんだけど…

「まあ落ち着け。これからおぬしらに任務を言い渡す!隊長は春野サクラ。内容は芋掘りの手伝いじゃ。任務はまだ大量にあるでな、終わったら戻ってくるように!」

はっ!と短く言った同期たちを横目に、一応小さく返事をする。
どうやら私達を散々こき使う予定のようですね!
それでもそんなに腹が立たないのは多分この人が火影だからだろうなあ。人望とか、人をその気にさせるのが半端なく上手いんだろう。まんまと手のひらの上な気がするぞ…別にそれほど不快じゃないけども。




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