目が覚めたら目の前に変態がいた。
「〜っ!?」
「あ、起きた?」
起きた?じゃねえよ!!なんすかバカカシさん!
出そうになった言葉をぐっと飲みんで、布団をかかえこみジリジリと距離をとる。不法侵入ですよ。鍵かかってないけど。
「火影邸に行くんでしょ?アスマから聞いたよ」
初日だから迎えにね。と続けて笑顔を浮かべたカカシさんは、どうやら人が寝ている横でクナイの手入れをしていたらしい。サビなのか血なのかが着いた布が転がっている。
どういう神経してんだ…というか今日なら今日と連絡しておいて欲しい。寝起きドッキリかよ。
カブトほどじゃないが、この人もなかなか胡散臭い。イラッとした。
「なんで、カカシさんなんすか…十班の皆さんは…」
「任務だよ」
「カカシさんは任務ないんすか…」
「オレはいーの」
「はあ、そすか」
絶対遅刻してやがるこの人…
「ユズ、いつもより口悪いね」
「寝起きなんで…」
言いながら台所へ移動し、お茶を入れる。
いつかの唐辛子もどきを入れるのも忘れずに。
自分用に水を一杯飲み干すと、カカシさんにお茶を出した。
「支度してくるんで飲んで待っててください」
「ん、ありがと」
またまた胡散臭い笑みを浮かべ、クナイの手入れを再開したカカシさんを横目に、隣の部屋へ繋がるふすまを閉めた。
とりあえず顔洗って、着替えて、札を持っていけば…ん?
「カカシさーん。中忍試験っていつですか?」
「んー?明日」
着替えながら、ふすま越しに声をかければ、間延びした声が帰ってきた。
というか明日って何…急だな…
「ナルトたちって参加するんです?十班は参加するらしいんですけど」
「参加するさ。これから中忍試験のコト伝えるんだけどね。」
やっぱり遅刻してるじゃないか
「こんなことしてていいんですか?」
「ま、大丈夫デショ」
ほんとにどうしようもないなこの人…とため息をついていると、ふすまの向こうから盛大に咳き込む声が聞こえた。
支度も終わったのでふすまを開けると、片方しか見えない目を若干潤ませているカカシさん。
「…どうしたんですか?」
「…ユズ、このお茶に何入れたの」
「なにって…ああ、唐辛子みたいなの入れました」
「…もしかして、イタズラ好きだったりする?」
「大好きですね」
真顔で深く頷くと、カカシさんはため息をついた。まさか本当に飲んでくれるとは思わなかったんだよ。すんません。
「あ、そういえば、この前サスケにもイタズラしました」
寝てたんで、時間差で水がかかるようにこう…と説明すると、呆れたような眼差しを頂いた。
「だからあん時ものすごい不機嫌だったのね… 」
はあ、とまたもやため息をついたカカシさんは、気を取り直したように顔をあげ、「じゃ、行こうか」と立ち上がって外に出た。
「ちょーっと掴まっててネ」
「え、普通に行かないんですか?」
「目立たない方がいいデショ」
どろん、と呟いたカカシさんと共に、瞬身を体験した。
死ぬかと思った。