結局あの後、カカシさんが溜め息をつきながら誤解を解いてくれた。

…心なしかカカシさんは嬉しそうである。まあ以前のカカシさんを直接見たわけじゃないからなんとも言えないんだけど、やっぱり幸せそうだ。
第七班がちゃんと最初の第七班でいられたのは、一年にも満たない時間なのになあ…

なんて、これなら起きるだろう波乱を思い出して、顔をしかめながら服に仕込んだポケットの一つから火の札(火力最小)を出す。
庭に集めてきた薪に向けて札を使えば、あっという間に燃え上がった。

うむ。便利だ。

ほくほくしながら鍋を火にかけて、今日の収穫である山菜を煮えたお湯にぶっこむ。アク抜きしたらおひたしにして食べよう。

そう。私は絶賛引きこもり中である。


七班遭遇事件の翌日に商店街に行くと、見慣れない格好の人が何人かうろついてたので、そのまま何もせずに家に帰った。

あれは多分他里の忍だろう。中忍試験フラグが着々と建築されていっている。
それはいいのだ。分かっていたことだから。

だが、他里の忍がそこらを歩いている中で、札屋として歩くことが出来ない。特に砂や音。いやこの中忍試験に参加する人たちほぼアウトだ!
札のことがバレたらややこしいことになるだろうし、これから砂&音が徒党を組んで木の葉に戦争を仕掛ける中で、向こうに変な戦力を売りたくない。

というか興味持たれて絡まれるのが面倒なので私は引きこもります!


それ以降、家から出る時は鉢巻を外している。
遠目で見られても気づかれないだろうけど、同期に見られたら速攻バレるので要件を済ませたらすぐに家に帰る。

あまりにも声をかけられないので、流石に少し傷ついた。
まあいいですけど。目立たないのはいいことです。


という訳で引きこもりをしているわけだが、貧乏故にサバイバルのような生活になっている。
…どちらかというと山篭りに近いかも知れない。

ガスも電気も通ってない暮らしにも慣れてきましたよ!華のティーンエイジャーとして終わってる気がするが気のせいです!!

最近は水の札と火の札を使ってお風呂も沸かせます。ガス代わりにもなるお札です。便利だ。


問題は

「…肉が食べたい」

働かない=稼ぎが無い=食費が無い

商店街に行って貯金で食材を買ったり、山菜や魚をとって食べたりもするのだが、体は立派な成長期だったりする。足りるわけがない。

お腹が空く。たんぱく質食べたい。


黙々と山菜から出る灰汁をすくって捨てていると、こちらに歩いてくる人影に気がついた。

「お、いたいた。おーいユズー」

「…アスマさん?」

おたまを持ったまま固まっていると、アスマさんの後ろから更に子供が3人現れた。
じ、十班だーー!

「久しぶりねユズ!もー。最近見かけないから心配したのよ?」

いのが私の手を握って上下にシェイクする。
えっと私達そんなに仲良しでしたっけ?
嫌なわけではないけれど、この年の女子のフレンドリーさに若干ついていけない。

「ねえユズ。この鍋は何茹でてるの?草?」

「いや、山菜だろ。つってもこの量はすげえな…」

助けろそこの男子2人!
食べたいならあげるから!!


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