「格闘技部…?」

なんだこの部活は、とあまりひと気のない昇降口前の廊下で立ち止まる。

「あなたも色々な格闘技を学んでみませんか…中国拳法から武器術まで…?」

読み上げてみたが、なるほどわからん。
うーむと腕を組んで張り紙を見上げる。

放課後の部活も既に開始されている廊下は、ランニング中であろう運動部の掛け声が響いていた。

ので、一人で張り紙を音読している私のことなんて、誰も気にもとめないはずだった。

「入部希望者か?」

「っひへ!?」

後ろから聞こえた声に変な声をあげながら振り返る。
うーわーびっくりした!

「ああ、すまない。驚かせてしまったな」

そういって頬を人差し指でかくのは、男子にしては少し長めの、それでもショートと言える黒髪をした男。
ネクタイの色から見て二年生だろう…多分。

「い、いえ!こちらこそ変な声を…」

「ああ、まあ驚いたが」

そういって小さく笑った先輩は、ものすごくイケメンだった。
思わずじっと見つめてしまい、あることに気がつく。

この人、目の色が薄い。
目の色も、形も、髪の色も、なんとなくヒナタちゃんに似ている。

髪型は違うけれど、私はこの人を知っている。

「日向、ネジ……先輩?」

目を細めて笑っていた先輩の目が驚いたように開いたのを見て、慌てて弁解しようと口を開く。

「いや、あの、ひ、ヒナタちゃんが従兄弟がいるって、言ってまして!」

似てたので!と弁解を続けると、先輩は「ああ、ヒナタの友達か」と呟いた。

あのネジが、ヒナタを呼び捨てした…!
というか髪が短いネジだ…!

謎の感動(?)に口を閉じると、先輩が薄く笑って言った。

「日向ネジだ。ヒナタが世話になっている」

「千歳ケイです。よろしくおねがいします!」

ネジ先輩は張り紙を指して続ける。

「俺はそこの格闘技部に入っているんだが、興味ないか?リー…、友人が誘ってきたんだが、まだ部員が少なくてな」

リーってロック・リー先輩のことだろうか…じゃあ武器術ってテンテンか!
ガイ班のメンバーが格闘技部って似合うなあ。
活動風景を見たいのは山々だが、着いていける気がしない。
元忍の身体能力がずば抜けているのは、同じクラスの三人ですでに実感している。この前奈良くんが体育の授業でアリウープしたらしいし…

「いや…遠慮しておきます。というか、この時期って、もうみんな部活決まっちゃってるんじゃないんですか…?」

「ああ、先々週設立したからな。だから部員は、俺とリー…さっきの友人だな。あとテンテンという女子、それからタロウの四人だ」

ん?今なんか一人だけ変な…いや、変というかアウェイというか…

「タロウ…ですか?」

ネジ先輩はニッコリと笑って、私の肩を掴んだ。うっ微妙に強い。

「一つ聞いてもいいか?」

「あ、はい」

「木の葉の里を、知っているか?」

知っているか?というより、知っているな?という口調だった。




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