友人に「ごめん手伝って」なんて言われたら手伝わざるを得ないと思う。
日直で雑用を押し付けられたらしい友人と共に、プリントを10枚ずつまとめて束ねて止めていく。と、指先に痛みが走った。
「っ…あー」
「どしたの?切った?」
大丈夫?なんていいながら手を止めない友人に尊敬を覚える。
ちょっと洗ってくるねーと水道に急いだ。
水道で傷口を洗っていると、横から絆創膏が差し出された。
「あ、あの…良かったら…」
「えっ、いいの?」
「う、うん。良かったらだけど…」
「ほんと?ありがと!」
絆創膏を貼りながら、ちょっと照れてる目の前の女の子を見つめる。
艶のある黒髪のぱっつんロング。色素の薄い瞳。
どこからどう見てもヒナタちゃんでした。かわいい。
「…あのさ、名前聞いてもいい?」
もうNARUTOとかそんなこと全部置いといてお友達になりたい。かわいいしすっごいいい子!
「ひ、日向ヒナタ…です」
「私は千歳ケイです。あとこれ絆創膏のお礼ね。イチゴ平気?」
ポケットに入れてあった飴玉を渡すと、少し戸惑った後に笑顔を浮かべてくれた。大丈夫だと思うけど溶けてたらごめんね。大丈夫だとは思うけど。
「…ありがとう。ケイちゃん」
「どういたしまして、ヒナタちゃん」
ニッコリ笑い返すと、ヒナタちゃんは照れたように真っ赤になってうつむいてしまった。あーーかわいい。
「ヒナタちゃんはなにしてたの?」
「私は日直で…あ、あとネジ兄さ、従兄弟を待ってるの」
「従兄弟いるんだ。仲良いんだね」
笑顔で返したものの、心の中は大荒れであった。いるのかーネジ兄さん。先輩かな!とても見たい、見たいが心の準備が出来ていない。だってきっとイケメンだし私は挙動不審になる!
それに一応友人も待たせているので、ヒナタちゃんに別れを告げて戻った。
小さく手を振るヒナタちゃんはかわいかった。
「遅かったね。なにかあったの?」
「天使がいたー…」