昼休みの度にサイがうちのクラスに顔を出すようになった。というより、うずまきくんに引きずり込まれてる気がしなくもない。本人は嬉しそうだからいいけども!
というか記憶あるの今の所男子だけな気がする。ヒナタもサクラも…あ、綱手先生は覚えてた。リー先輩は覚えてないみたいだし。何か規則性でもあるのかな…うーん。
つらつらと考えながら、楽しそうな男子4人をちらちら眺めていると、教室のドアが音を立てて開いた。
「ちょっとお!サイ!自分だけ楽しんでんじゃないわよ!」
「あ、いの」
「はぁ?いの!?」
金髪の髪をサイドに緩く結んだ女子は、つかつかと歩き、男子4人の前で仁王立ちを決めた。
え、いの??サイといのは面識あるの?? とりあえずと、ケータイを眺める振りをして耳をそばだてる。最近このスタイル堂に入りつつある気がする…ごめんなさいまだストーカーじゃないです。
「久しぶり…いや、はじめましてかしらね!サスケくん。ナルトにシカマルも」
「いの、お前、覚えて…」
ちらりと見ただけでも狼狽えていると分かる奈良くんの背を、ぽんと叩いたうずまきくんは、心底嬉しそうな顔をしていた。
「久しぶりだな。いの!」
「ああ、久しぶり」
ここからだと角度的に見えないが、かすかに聞こえた声色で、うちはくんが笑っているのが分かった。あー見たかった!!
「…つーか、お前ら知り合いだったのかよ」
「なによシカマル。拗ねてんの?」
「ちげーよ。あーめんどくせぇ」
「心配しなくても付き合ってないよ。ね、いの」
「はあ!?なんでだってば!?」
「今更そんな面倒なことしてらんないわよ」
「シカマルが移ってるぞ」
「おい、人を病原菌みたいに言うなサスケ」
ぎゃーぎゃー騒ぐ声に緩む頬を抑えながら、恒例のようにネジ先輩の連絡先を開く。
『山中いのさんが覚えてるみたいです!!』
送信すると一分と経たずに返信が。暇なのかなネジ先輩。友達いなかったらどうしよう。
『報告は有り難いが、昼休み毎にメールしてくるせいでリーとテンテンに興味持たれてるぞ』
「えっ」
ばっと口に手を当ててうつむく。えっまってどういうことなの!?必死に親指を動かして返信を打つ。
『えっリー先輩とテンテン先輩そこにいるんですか!?ちょっと拝見させて頂きたいです!!!!』
『テンテンが今日の部活見学に来いと言ってるが、どうする?』
『いきます(≧∇≦)』
『伝えておく』
ネジ先輩からのメールを確認して、ケータイを両手で握りしめて息をついた。
うわーミーハー丸出しにしてしまった!!どうしよう今日の放課後すっごく楽しみだ!大丈夫かな、いやネジ先輩は知ってるからなんとかなるだろう!!
うずまきくん達が騒ぐ声を聞きながら、緩む頬を抑えた。