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キミの目指す方向カエン)「ねぇ…」
それは、ふとした疑問だった。
カエン)「カイは、小さい頃から剣士になろうと思っていたの?」
カイ)「なんだよ、いきなり」
カエン)「別に深い意味はないんだ カイの家って、代々剣士の一族なんでしょう? だから、やっぱり家柄に影響されたのかなって」
カイは長男だし、この異世界は魔物や反乱者と戦うことが多い。
もしかしたら物心つく前から剣士になる運命を背負っていたのかも知れない。
だけど、やっぱり幼い頃は色々な夢をもっているわけで、剣士以外の道を歩いてみたいと思ったこともあったかも…。
カエン)「あのさ… カイは、剣士以外にやりたい職はあったの?」
カイ)「ないな」
即答だった。
カイ)「お前の言う"家柄に影響された"ってのは、当たらずも遠からずだ 親父は、強制的に俺に剣術を教えたわけじゃない 俺が剣士にならなかったとしても、なにも言わなかっただろうし」
カエン)「そうなんだ…」
カイ)「ただ、やっぱり親父の息子だからか、剣しか手に馴染まなかった 魔術が上達しない代わりに、剣術が上達した …だから、俺は剣士になったんだ」
僕は、昔のカイを知らないから、カイが剣術以外の攻撃方を使うところが想像できない。
それぐらい、カイは剣士に向いている。
カエン)「自分の天職を見つけられるって凄いなぁ… 羨ましいよ」
カイ)「なに言ってんだ 餓鬼のくせに」
カエン)「餓鬼って… カイだって、まだ餓鬼じゃないか!!」
カイ)「お前よりは餓鬼じゃねぇよ!!」
押し問答をしていると、笑い声が聞こえた。
振り向くと、ミケとナティアが居る。
僕とカイの会話を聞いていたらしい。
ミケ)「相変わらず仲が良いね」
カエン)「仲良くなんかないです!!」
ナティア)「ふふっ… 目指す方向は人それぞれ 自分の道は自分で探してこそ、佳薗くんの言う天職が見つかると思うな」
カイ)「だってよ」
ナティアの言うことは尤もで…。
ナティア)「本格的に魔術師を目指すなら、いつでも手解きしてあげるよ?」
カイ)「お前に教えられるのか? しょっちゅう暴走し勝ちだったくせによ 奇公子って二つ名がつくぐらいに」
ナティア)「…わかった 佳薗くん、今から応用魔法を手解きしてあげるね …こいつで」
カイ)「ちょっ!?」
カイの余計なひとことに怒ったナティアが、杖を片手にやる気モード。
そんな二人の様子を見て、微笑ましいなと笑みを浮かべるだけで、カイを助ける気はまったく無いミケ。
カエン)「なんか、どうでも良くなっちゃったな」
なにかを目指す前から色々なことを考えていても、なるようにしかならないのだ。
あの三人を見て、そう思った。
お い ! !
無 視 す ん な よ
俺 を 助 け ろ っ ! !
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