制服合わせ
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「失礼しまーす…。」
恐る恐るドアを開けるとみんながペコっと頭を下げた。だけどバタバタってわたしに向かって走ってくるのはそう、「わ、マイコ!どうした!?」わたしの腕をガシっと掴んで「なにこのイケメンズ。ゆきみさん助けてください!」泣きそうな顔でマイコが絡まってきた。
この状況で素直に喜べるのなんて朝海ちゃんぐらいだろうって。
映写機を動かしている我が社のど真ん中であるプロジェクションのセクションリーダーであるマイコがおろおろとしている。
でも逆にわたしはマイコがここにいてくれてラッキーなわけで。
「冬休み要因のバイトくん達。哲也さんと啓司さんが書類の顔で選んだっていう。」
「あ、朝海ちゃんが言ってた?」
「そうそう。マイコんとこも3人入るんだよね?」
「あ、そうだった。」
チラリとマイコが彼らに視線を移すけど、一瞬でわたしの所に戻ってきた。
「いやなんか眩しくて直視できません私。」
「わたしもなんだけど…。酷いよね、直人さん。わたし一人に押し付けて。もー朝海ちゃん呼びたいぐらい…。」
「そうだ、朝海ちゃん呼びましょう!」
「いや今清掃してるよ、8番辺り…。」
「あーそっか。それにしても休憩にならないなぁ…。」
「ね。あ、ごめんね。えっとこのビデオが終わったら制服合わせするので、リラックスしててください。」
仕方なく意を決してそう言うと、みんな揃って「はい。」って返事をした。
ふう〜心臓痛いぜ。
ビデオはすぐに終わってしまっていよいよ制服合わせ。ここで初めて全員の顔を一人一人見いるんだけれど…。
「今の大学生ってみんな身体こんなできてんの!?」
思わず手前にいた子に聞いた。
「え、できてますか?筋トレばっかやってんのバレてます?」
「いやごめんだって結構制服ムチムチ…これ着れる?」
「たぶん…。」
超絶イケメンにLサイズを差し出すとその場でそれを着ていて。
「あ、大丈夫そうね。キミはこっちでいけそうだね。」
泣きボクロの垂れ目くんは線が細いから充分だろってMサイズ。
「腕キツイ…。」
「…ないからそれしか。」
「ですよね。」
「無理そうなら言って?直人さんに相談するので。」
「はい。」
そうして各セクションごとの制服合わせを終えたわたしは体力も生命力も奪われかけていたのか、フラフラしながらオフィスに戻ったんだ。
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