バチバチな関係 

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「ゆきみさーん!」


意気揚々とオフィスに入ってきた朝海ちゃん。見るからにルンルンしていて。


「も〜言ってくださいよ、イケメンズの研修が今日だって。スタッフルームのドア開けたら全員こっち振り向くから超ニヤけちゃったじゃないっすかぁ!」


完全にお花を背負いこんでいる朝海ちゃんの頭をポカっと直人さんが叩く。


「立花、ゆきみを惑わすなよ?」

「なんすか、直人さん。あたし今ゆきみさんと話してるんで入ってこないでください。」


ピシャリと直人さんにすら言い放つ朝海ちゃんに内心爆笑。

この2人、そりが合わないっていえばいいのだろうか、なんとなく交わす言葉もバチバチしている。


「いいからお前はさっさとフロア行けよ。」

「あーそんなこと言って、直人さんはゆきみさんとの時間をあたしに邪魔されたくないんじゃないですか?」


ジイって直人さんを見つめる朝海ちゃんに直人さんは顔色一つ変えずに「そうそうだから早く行け。」なんて言った。

でも次の瞬間、朝海ちゃんがギュっとわたしの腕を引っ張って。


「げ、そうくるんだ。だめですよ、ゆきみさんは直人さんじゃなくて、年下のイケメンとクリスマスを過ごすんですから。絶対に邪魔しないでくださいよ、直人さん!」


ビシって言い放つ朝海ちゃんは満足したのか「では行って参ります!」敬礼のポーズをしてトサカのいるフロア入口へとスキップで消えて行った。



「直人さん、軽く流せばいいのに。」

「だよね、なんか立花相手だと言い合いになるなぁ俺。やば、気をつけないと。」

「あっは、自覚してんですね。」

「当たり前だろ。つーか、自分はどうなんだって。立花こそ、男と過ごすクリスマスじゃねぇのかな?」

「どう、なんですかね、朝海ちゃん。最近飲み行ってなかったんで、そろそろ行かなきゃ。」

「飲みすぎんなよ?」


クシャって前髪を押さえた瞬間、オフィフ内の内線が鳴った。スタッフルームから「ビデオ終わりました。」の内線だったから、ふう〜と溜息をついてわたしはいざ戦場へと出向いて行った。



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