許されない本音 

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ベッドの上で哲也さんに抱かれたことは一度もない。

ラブホテルに行ったことも一度もない。

だけど場所なんてどーだっていい。

そこにあたしを愛してくれる哲也さんがいれば、どんな場所でも幸せになれるから。


「なんかあった?」

「ない、よ。」

「けど、」

「イヤ?」

「そんなこと…ねぇ、アーッ…、」


後部座席を倒してそこで二人で狭い中重なり合う。サラサラな黒髪の下、妖艶な哲也さんの甘い瞳にあたしだけが映っているこの時間がたまらなく好き。

哲也さんのそこに顔を埋めて舌を動かすあたしも、そうされる哲也さんも、最低な奴。


「朝海、イキそ…。」


ポンと髪に優しく触れる哲也さんの手に、あたしは激しく身体を上下に動かして手でツツーとソレを握る。


「出して、いいよ。」


本当は好きじゃないけど、それでも今日はそんな気分だった。

哲也さんの全部を独り占めしたい、そんな気分なんだ。


「あ、ごめっ。」


そんな謝罪のあと、哲也さんのソレが勢いよく口の中に噴射してそれを味わうことも無くゴクリと無理くり飲み込んだ。

ゲホゲホと咳込むあたしをギュッと抱きしめて頭を撫でてくれる哲也さん。


「不味いのにごめんね。でも嬉しかったよ。今度は俺がシてあげる。」


まるで消毒するかのように甘ったるいキスを何度も何度も繰り返す哲也さん。

舌をちゅ、っと吸われて服の中に手を差し込む哲也さんは、あたしのブラを軽々外して胸に触れた。

ピンとしている突起を指で摘むと、「ンッ…。」小さく声が漏れる。


「朝海の胸、好き。」


ニッコリ微笑んでニットを捲りあげるとそこにちゅ、とキスを落とす。そのまま舌で周りを縁取るようにペロリと舐めて、胸ごと口に含まれた。軽く倒れるあたしを片手で抱きとめてゆっくりと後ろに倒した哲也さんは、胸からおへそと舌を絡ませていく。


「ハァッ…てっちゃん…。、」

「…ん。」


そのままスキニパンツの上から割れ目を指で探る哲也さんは、カチャリとベルトに手をかけて下着の上からそこに舌を這わせる。

途端に電流が走るように身体がつき上がって下半身がキューっとしまった。

それでも焦らすようにじっくりと下着をびしょびしょにした哲也さんは、ようやくニッコリ微笑んで「指と舌と俺、どれがいい?」なんて聞いたんだ。

乱れる呼吸を整えながらあたしは答える。「全部。」と。もちろんのこと、分かりきったあたしの答えに哲也さんは「欲張りだねぇ。」って余裕に笑うんだ。

その顔、ずっと見ていたい。

あたしだけに見せていてよ、ねぇ。

それってやっぱり、ワガママ?許されない?

本当の本音は一度も口に出していない。


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