みんな片想い

「マイコ、マイコ！」
「ゆきみ！あはは、口にケチャップついてるよ！はい。」


ティッシュを差し出して笑うマイコにギュッと抱きついた。


「もーどうしたの？あっちで北ちゃんとなんかあったの？」


わたし達３人の中でもマイコはいわゆる姉御肌だった。自由人なわたしと朝海の面倒をちゃんと見てくれる優しい人で。


「まこっちゃん酔っちゃってもうちょいしなきゃ出れそうもないなぁ。」
「え、そうなの？大丈夫？まこっちゃん。」
「んー。今壱馬が一緒にトイレ行ったー。」
「まこっちゃん、どの乗り物もだめだねぇ。コテージ着くまでに治るといいけど。」
「ねー。後で顔出してあげてよ。まこっちゃんもゆきみの顔見たら元気になるから！」


…ならないよ、マイコ。気づいてないのかなぁ、マイコ。まこっちゃんと壱馬、仲はいいけど、本当に仲はいいけどバッチバチなの。マイコの事に関しては２人とも譲らないってこと。壱馬なんてモテるのに絶対靡かないとこが余計にかっこいいってわたしは思うけど。


「チョコソフト食べたい！」
「え？食べる？」
「うん！朝海とケンちゃん買いに行ったんだけど、来てない？」


キョロキョロとフロア内を見回すと、ソフトクリームを手にした朝海と、隣のケンちゃんは咥え煙草で外のベンチに座っているのが見えた。なんだか楽しそうに話して笑い合っている２人。ケンちゃんは物静かだけどここって時にいつだって優しくて頼りになる。朝海が一番懐いてるのはケンちゃんなんだろうなーって。


「いた。なんかあの２人って兄妹っぽいのに恋人みたいだよね。」
「え？マイコどーいう意味？」
「うまく言えないけど、しっくりくる。でも朝海は陸だからなぁ！陸は…。」


マイコの視線が自然とわたしにくる。首を傾げてマイコを見つめ返すと、ちょっとだけ切なく微笑んだ。


「ゆきみは、北ちゃんだもんね。」
「うん。わたしは絶対北ちゃん。北ちゃん以外は無理だよ。」
「このキャンプで北ちゃんに伝わるといいね！」
「うん。告白、しようかなーって思ってる。北ちゃん誰にも取られたくないし、好きになって貰いたい。」
「可愛いーなぁゆきみは。素直で羨ましい。」
「マイコのが可愛いよ！あ、来たよ愛しの壱馬が！」


ぐったりなまこっちゃんを連れた壱馬がマイコの元に戻ってきた。

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