べたにオムライス食いたい…なんて言うから、帰り際駅前のスーパーで食材を買った。普段料理は全くしないって言う岩田くん家のキッチンは、ピッカピカである意味可笑しい。
「本当に使ってないんだねぇ。」
「だってできない。絵未さん毎日作ってくれませんか?」
「…それどこまで本気で言ってる?」
冗談にしていいものか流すべきなのか境目が分からないからそう聞いたら、ふわりと後ろから岩田くんが私の腰に腕を回した。俗にいうバックハグって奴。女子が喜ぶシチュエーション第一位!…なんて浮かれてられない。自分でも吃驚するくらい心臓が高鳴っているのが分かる。この家に来ると決めた時に、一緒に一抹の覚悟も決めたはずなのに、いとも簡単に揺らぎそうになるなんて。
「全部本気、ですけど。」
「へ、へえ〜…。そうなんだ〜。」
「すっげぇ棒読みになってますよ、絵未さん。大丈夫?」
後ろから顔を覗き込もうとされてもうごめんなさい!って岩田くんの腕の中から這い出た。ちょっとだけ不満気に私を見つめる岩田くんに苦笑いを返す。この展開の速さについていけない…ってことじゃなくて、ついていけていない自分がみっともなくて。私いい大人なのに。
「大丈夫よ…。」
「ほんと?じゃあキスしてもいい?」
じゃあ!?じゃあってそうやって使うんだっけ!?なんでキス出てきた!?これっていわゆるジェネレーションギャップ!?うわ私、ダメだ。このノリについていけない。なんて内心あたふたしているのにそれでも若干の引きつり笑顔で「こら、大人をからかわない!」そうあしらうと、岩田くんの顔があきらかにむくれた。
やばい、超絶可愛い!!