百合の華



私には全く縁の無いこの慰霊碑に
私は今いる

私の両親は確かに木ノ葉の人間であり
忍であった、両親の死に様は
第三次忍界対戦にまで至る

私の一族、ミョウジ一族は昔から
おとぎ話の様な風習が現実にあった
自村にある幻想的な花畑で生涯に
幕を閉じるのだ
純白の花から漆黒の花に囲まれる


まぁそんな話は置いといて...

決まった慰霊碑の前にしゃがみこみ
碑に語りかけている男が見える


「ナルトにサスケ...サクラ、これから先が思い知らされるよ。アイツ等は忍に相応しい器を持っているのか。かつての俺達みたいに...」


マスクを着用している為 彼の表情は
読み取れない
けれど、目尻が垂れ下がっていること
から多少は笑顔になって居るんだろう

だけど笑えてない...それは辛い証拠だよ


ストッ


気配を消して居た私が突然地面へと
着地したら忍たる者先ずは相手に
警戒心を抱く

この男はハッとした表情を見せ直様
クナイの矛先を私へと定めた


「...何だ、ナマエか。全く〜普通に出て来て頂戴よ」

「何か重たそうな空気だったからさ。ふふ、カカシせーんせっ遅刻だよ?」


私の笑顔を見てホッと胸を撫で下ろす
良かった、いつものカカシだ


もうサスケが家を出て3時間は経つ
完璧遅刻でしょ、このアホは

「もうこんな時間だったのか、信用されないのかな、俺」

相変わらずボサボサの頭を指で掻く上に
その満面の笑顔からして反省の反も
出てないし

「カカシ本当遅刻魔だよね、わからなくもないけど。私の可愛い可愛いサスケを怒らせないでよ?」

右手から百合の花束を術て出し慰霊碑
に供える

うちはオビト...会ってみたかった、
唯一のうちは一族に。


「確かナマエの弟だったか、本当に楽しみで仕方ない。あのイタチの実の弟でもあり育ての親がお前だと将来有望だな」

「まあ...イタチの弟って所がやっぱり一目置かれるよね、因みに私はサスケと組手の一つもしたことないよ、気使ってくれてるみたい」

「お前Sランクの任務ばっかだろ、あんまり無理はするなよ」


忠告されたので私は胸の前で
大丈夫大丈夫と小さく手を振りながら
軽く流して置いた


「何かもう最近本当疲れちゃった、よく解んないや」

カカシは勘付いてる、さっきの面とは
大幅に変わり表情を固くし真剣な目付き
で此方を見てくる

その瞳の中には私が居た


「復讐...俺にもそう言って来たよ、勿論いざとなれば力付くでも止めるから。だからサスケの事は俺に任せといて」

「ふふ、サスケを宜しくね」


静寂が訪れてくると思って居たのにも
関わらず空気が和み出し自然に笑みが
零れた


「取り敢えず行ってくる、オビトの為にわざわざ有難う。気が向いたら見に来たら?いつもの場所だからな」


私の返答も聞かずカカシは瞬身の術で
目の前から姿を消した


ふと慰霊碑に視線を向ける
私が置いた百合を始め色々な花束が
供えられていた、その中には枯れてる花
もあればまだ日が浅い綺麗な花とが
ハッキリと差を付けられていた

そしてカカシ愛読の
『イチャイチャパラダイス』...
亡くなった親友に何お供えしてるのよ
本当バカみたい、

と、思いつつも私の頬は自然と
釣り上がり笑えていた

次に視界に入ってきたのは本人の物
だと思われるゴーグル


私もしゃがみ込みカカシを真似て
語りかけてみる

「ねぇオビトさん、どうしてうちは一族ってこんな難しい人達ばかり何だろう。オビトさんもイタチやサスケに似てるのかな」

望ましい答えが返って来る所か
返事さえも来ない慰霊碑に私は真剣に
問いかけて居た
きっと最近溜まっててそれを
閉じ込めちゃってたからかな


「それより本当いい天気...」


雲一つ無い汚れなき今日の青空は
今の私には勿体無い空であった

ぽかぽかと居心地が今凄く良くて
いい感じ

猫っていいな、晴れて居る日ずっと
日向ぼっこしていられるのだから


「少しだけ..」


最後に吐いた言葉は甘かった


おびとさんの碑にもたれかかり
私は少しの間夢の世界へと旅立った



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