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 「おー、起きてたのか三人とも」

 翌朝、まだ熟睡するキリを起こさずにリビングに向かえば三人はすでに起きていた。宇佐美がホワイトボードにトリガーやチームの説明を書いているのを見、なるほどと納得する。

 「おはようございます。キリちゃんはまだ寝てるんですか?」

 雨取がキリが迅の傍にいない事に気付き、そう問いかける。

 「まだ寝てたからなー」

 「っていうか、昨日から思ってたんだけど迅さんとキリは二人で寝てるのか」

 そう言って首を傾げる空閑にウソは通用しない。ここは素直に肯定しておこう、と迅はにこやかに答えた。

 「まあな」

 「は、え、ええ!?」

 真っ赤になって驚く三雲に迅はニヤッとした。

 「まぁ、これが幼馴染の特権ってヤツかな」

 「うーむ、オサナナジミとはすごい権利が発生するものなのか・・」

 「こら、迅さんは三人に変な事吹き込まない!」

 そう言うと、宇佐美はくいっとメガネを押し上げた。

 「さぁ、諸君! 説明するぞ!」





 ぱっと目を覚ますと、隣に迅がいなかった。

 「・・?」

 ごしごしと目を擦って、もう一度枕に顔を押し当てる。また眠気が襲ってきたが、迅がいない不安のほうがキリの中で勝ってしまう。

 キリはえい、とベッドから降りると、下がってくるだぼだぼのズボンを押し上げた。さすがに一着のワンピースをずっとパジャマにするにはいかないので、迅からいらないTシャツとズボンをパジャマとしておろしてもらったのだ。
 しかし、如何せん彼の方が大きいので全体的にだるんと床に垂れてしまって歩きにくいことこの上ない。
 悪戦苦闘しながらようやく部屋を出ると、今さっき来たらしい小南と鉢合わせした。

 「! こなみ!」

 「あら、キリ。今起きたの? 相変らず遅いのね」

 駄目ね、といいながら小南はキリの髪を整えてくれる。キリは目を細めてされるがままにしていた。しかし、ふと何かに気付いた小南が手を止める。

 「あんた、迅の部屋で寝てるの?」

 「? そうだよ」

 へ? とこてんとかわいらしく首を傾げるキリに小南はわなわなと震えだす。

 「・・一緒に?」

 「うん」

 「・・・・毎晩?」

 「うんうん」

 「じぃぃぃん!!! ちょっとあんたツラ貸しなさい!!!!」

 びゅん、と嵐のようにリビングに駆けていく小南に取り残されたキリは、ただただ首を傾げた。

 「キリ」

 小南が去っていたすぐあと、そう呼ばれて振り向けば烏丸と木崎がいた。

 「とり! れーじ!」

 「・・とりは俺のことっすか」

 「だろうな」

 慌てて走ろうとして、だぼだぼのズボンに足を引っかけたキリはびたん、と情けなくすっころぶ。

 「早いとここいつの服買わないとな」

 そう言って木崎はキリを小脇に抱えた。

 「あー、そういうことは小南先輩たちに任せませんか。男がそういう店って入りにくいんで」

 キリの好みもわかりませんし、と烏丸はわしゃわしゃとキリを撫でた。



  
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