→すいーとえんど


ホーキンス船長の顔が、ゆっくり傍にくる
混乱しきった私の脳裏は、一周回って目の前の情報の整理しか出来なくなる
船長、かお綺麗だな、肌白いな、いいにおいするな…
ただそれでも、離れなかった一文

"惚れた"相手の生き血、という単語

理解できない、理解、できない。確かに私は、ホーキンス船長を男性として、焦がれる存在として見ている
でもいま、船長が言ったのは、つまりは、その


答えを結びつける前に、唇が重なった

「んッ、んんぅ…!?」
「…お前は、此方に集中してろ…」

キスの合間の、吐息を多く含んだ言葉にくらくらする
しかし私の思考は、侵入してきた彼の舌に麻痺していく
傍らの壁に会った手は、今や私の両頬を掴み、ぐっ、と力を入れる。その所為で固まっていた口が開いてしまう
舌が絡み、唇を吸われる淫靡な音と、歯列をなぞる感覚
なにより、ホーキンス船長とキスをしているという事実が、私の思考を鈍らせていく

はじめての大人のキスの勝手など分かるわけもなく、酸素がどんどん奪われる

苦しい、けど、ゾクゾクする。きもちいい。なにも、かんがえられない
もっとしてほしい。

彼のシャツを掴もうとした手は、虚しく空を切った

「すまなかったな。有り難く頂くぞ」

船長は既に離れ、短剣には血が薄ら伝っている
痛みを感じさせないようい、って、そういう事だったのか…?
ようやく微かな痛みを認知しだした方を向くと、いつのまにか太ももに小さな傷が
船長は短剣の先に滴るソレを小瓶に移し懐に仕舞う

「待ってろ、傷の手当てを…」

そう言って船長は背を向け、ドアに手をかける



いてもたってもいられなくて、私は息を整えないまま船長の広い背中に縋りつく

「ホーキンス、船長…っ!」
「どうした」
「惚れ薬なんれいりません、手当ての道具も…!」

今は、船長だけ、欲しいです!
羞恥とキスの余韻で、勝手に涙目になってしまう

ゆっくり向き直った船長
死人のように白い肌が、今はほんのり色づいている
船長も、赤くなるんだなぁなんて
シーツに沈められながら、想った


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