It's not I but you who are to blame.
放課後のレコーディングルーム。

家の命令でアイドルになる俺には縁のない場所だった、彼女と会う様になるまでは。


「ねぇ、レディ…いいのかい?俺とこんなことして。」


「いいよ?だって、レンのこと嫌いじゃないし。」


レコーディング機器を背中にして、椅子に座る俺に跨り誘う名前。
俺の事を嫌いではないというその唇が欲しくて堪らない。彼女を見上げてその唇に腕を伸ばし、親指で摩ると名前は少し頬を紅く染めていた。


「ふーん。でも、聖川が好きなら俺とかかわらない方がいいと思うよ?」


「でも真斗は私の事なんて見てないもの…あの子しか見てない。」



聖川を想って悲しそうな表情をする名前。

俺ならそんな顔させないのに。





聖川を想い俺にすがる名前。

俺にすればいいのに。






「じゃあ諦めるのかい?」


少し期待を込めて言ってみたけれど、「それは…嫌。」と更に悲しそうな顔をして、俺に抱きついてきた。



「まったく、レディは俺の事を困らせるのが上手いね。」


「ごめんね、レン。」


胸に顔を埋めたまま謝る名前の表情は読めないけれど、背中に回された手がギュッと服を掴むのを感じて愛おしくなる。
優しく抱きしめ返すと名前の肩口に自分も顔を埋めた。


「謝るのはナシだよ、レディ。」


きっと顔に出てしまうだろうから、ばれないように見栄を張るので実は精一杯だった。



「レンは?好きだって言ってた子に告白しないの?」


「さぁ、それはわからないよ。俺はボスに歯向かってまでリスクを背負うのはごめんだからね。」


「そうなんだ…でも、上手くいくといいね!」





俺は名前が好きだと、言える日が来るのだろうか。
「そうなるといいね」と軽く笑って見せたけど、たぶん、俺の恋は実らない。



前に俺が名前と話しているところを目撃した聖川が言ってたんだ。

『彼女にだけは絶対に手を出すな』って…




…もう少しだけでも俺に名前との時間がありますように。
ごめんねレディ、だけど。


真実に迫らない俺達は同罪かもしれない。


だから…It is not I but you who are to blame…





★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

It's not I but you who are to blame.(悪いのは君だよ)


prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -