アシンメトリー(FF5*EDバッツ生存)12/15*FF5本編のEDで生存がバッツだけの場合のセリフから抜粋しました。 *少し本編のEDとは違ってます。 バッツは一人故郷へと歩む。 今、住んでいる吟遊詩人は旅でしばらく空けると言っていた為に久しぶりの帰宅でもあった。 ボコはお嫁さんのココと海賊の洞窟で一緒にいて、離すのが可哀想だとバッツは言ってボコはココと子供の傍にいる。離すのが可哀想だと思ったのは過去の自分の事があったからだ。 幼い頃に母親を亡くして、母親が亡くなってすぐに父親と故郷から離れて行った。故郷を無くす虚無感は今でも怒りと悲しみの狭間にあったあの感覚をすぐに思い出せた。 仲間はあのエクスデスとの戦いの後からもう一年近く経とうとしていた。 その間に仲間達の行方の事は何一つ聞いてなかった。 バッツはいない仲間に虚無感を覚えながら家に辿り着いて、テーブルに紙と筆を持って手紙を書き始めた。 故郷へ帰って来るまでバッツは世界を再び回っていた。あの戦いの頃には見えなかった素晴らしい場所や懐かしい思い出の場所。仲間と初めて出会って、怒ったり…笑ったり…泣いたりと……本当に忙しかったあの頃がまるで夢物語みたいな……思った事や驚いた出来事に今の状況を全て書き綴った後にバッツは伝書鳩にシドとミドに宛てた。 ゆっくりと背伸びしたあとにバッツは一泊して次の日に外へ出て両親の墓に行く。 しゃがんで墓に花を供えた。 「行ってきます、親父…おふくろ…」 一言そう言った後にバッツは歩きでとある場所へと向かった。 長旅になるとわかっているが近くの村のルゴルの村でアイテムを一通り整えた後に歩いてムーアの大樹へ歩み出した。 バッツは歩みながら今頃は彼らに手紙が届いている頃だろうなと思いながら四日かけてムーアの大樹へ辿り着いた。 あの戦いから一年経っても還らない仲間に花をバッツはもっていた。 アシンメトリーな花束は過去に彼女達が好きだと言っていた花だった。バッツはその花束を供えた後に思い出していた。 「あの時、ガラフたちが助けてくれなかったら……おれ… 土も風も水も火も、生きずき始め世界は平和を取り戻した。」 だけど、バッツはそんなことはどうでも良かった。 それは心の中にある大きな虚無感と悲しみが混ざるアシンメトリーな感覚。 「きっと……」 『レナたちがいないからなんだね。』 不意に聞こえてきた声に驚きながらバッツはキョロキョロと周りを見た。 確かガラフの声が聞こえてきた気がして……ガラフにどうしたのかと言っていると空から光が降り注ぎ、三つの場所から… 「!?ファリス……レナ……クルル……生きていたの!!」 『言っただろう?』 不意に聞こえてくる声にバッツはまさかと思って長老の木を見て 『まだお前たちが来る所ではないと』 三人はようやく目覚めてバッツはレナに近づいた。 レナは俯きながらポツリと語り出した。 「最後の……エクスデスとの戦いで力尽きて、『無』から抜け出る気力がなかった……みんなの姿だんだん遠くなって、小さな光となった。」 バッツは黙ってレナの話を聞いている。 レナは未だに俯きながら話を続ける。 「私はだんだんと気持ち良くなってきて…でも、その時父さんの声が聞こえてきたの。 お前たちが来る所ではないと……」 バッツは泣きそうな顔をして三人にごめんなさいと言い出すとレナは首を振り、ファリスは彼の頭を撫でて、クルルは抱きしめてきた。 二度目の……まさに奇跡とも言えるものに遭遇しているがバッツはただただ泣いた。 自分だけがのうのうと生き残って平和な世界でゆっくりと過ぎていく時間だけが本当に怖かったのだ。 だが、三人はそれを許すと言ってくれた。 「またクリスタルの輝きが戻ってきたんだ。今度は私達が守らなくちゃ。」 「ああ、親父たちが守ってきたように」 レナの声にバッツは笑顔で頷いた。 その時、最後の一粒の涙は花に降り注いだ。 セリフ集から調べてずっとバッツのひたすら後悔してますー的なものを書きたくてこうなりました。 |