貴方の声が聞きたい(10→85←7)11/22コスモスの戦士たちは一定の期間、コスモスの力で守られている古城にいた。 バッツはクラウドを連れて……と言うよりも勝手について来て、一緒に食料庫で足りない調味料やら食材を引っ張り出していた。 「あとは、そうだな……油くらいか」 「そうか。」 バッツは油の入ってる大きめな壷の中から持っていた瓶で油を掬い取り、滴る部分をタオルで拭き取った後に瓶を抱えてバッツ達は食料庫から出て行った。 「あー……相変わらず食料庫は寒いぜ……」 「……なら、温めてやろうか?」 「へ…?」 急にクラウドが迫ってきて何事かと思いながら後ずさりをすればバッツは壁に背をぶつけたと同時に手が空いている左手で壁に手をついてバッツは逃げ場を失う。 「く、クラウド……?」 「バッツ……」 「そこで何をしているんだ?」 運良く我らがリーダー、ウォーリアが現れてクラウドはバレない程度に舌打ちした後にバッツはホッと安堵の溜め息をついた後に食料庫まで行った為に寒いなと話していただけだと言うと、彼は優しい顔でそうかとバッツの頭を撫でた後に行ってしまった。 バッツはウォーリアの後を追いかけた。 クラウドは攻めるタイミングを逃してしまい、どうする事も出来なかった。 リビングルームではスコールとジタンとティーダが騒いでいて、それを注意する年下のオニオンナイトがいた。 ウォーリアは首を傾げながら扉の前で 「オニオンナイト、どうしたんだ?」 「あ!リーダー、聞いてよ!ジタンとティーダが台所の食料荒らしてたのにスコール、無視してたんだよ!」 プンプン怒りながら言うと後ろから来たバッツがオニオンナイトの怒ってる理由が分からず、ウォーリアに事情を聞くとバッツは驚いた顔をして彼に油の入った壺を渡して床下の食料置き場を見ると見事に荒らされていた。 バッツはへたりこんで思わず地声をだす。 オニオンナイトはバッツの後ろから来て思わず顔を引き攣る。 果物を食い荒らされて漬け物が入ってる瓶から汁が滴っているし、何よりこの中が色々な匂いが混じって気持ち悪い。 「な、何だよ……これ……早くオニオンナイトが注意してくれなかったら……今日の夜飯抜きになる所だったぞ……?」 「えっ!?」 「間一髪……って所だな……。これをフリオニールに見られたら………」 ジタンとティーダの顔が真っ青になる。 バッツは彼にどんな言い訳をしようかと悩むが彼はどんな言い訳も問答無用で弾く。さすが伊達に反乱軍をしている。 するとフリオニールがリビングルームにやって来たが急に彼の表情が鋭く険しくなる。 彼は床下の食料置き場の所に来て中を見るとオニオンナイト以上に顔が引き攣る。 「バッツ、これは……?」 「えっとぉ……」 フリオニールがじっと鋭い目つきでバッツを睨んだ。 彼の恐ろしさにバッツは唸った後に三人を庇うように白状した。 「おれが目を離したせいです……」 「!!?」 「バッツ!!?」 オニオンナイトは真実を伝えようとしたがバッツは首を振って言うのを止めた。 だが、確かに目を離していたのはバッツだ。 だから自分が悪いと言うとスコールは驚いた顔をして 「フリオニール、俺たち三人が悪いんだ。」 「え?スコール……?」 「俺はバッツに床下の食料置き場の監視を頼まれていたのに彼らの行為を注意せず、無視したんだ。」 フリオニールはバッツに少し注意した後にスコールとジタンとティーダを連れて自身の部屋に行った。 ウォーリアはその間にクラウドとオニオンナイトと食料置き場を綺麗に掃除してくれた。 「何か悪いな。家事とかはおれとフリオニールの仕事なのに……」 「いや、大丈夫だ。それより、食料を倉庫からクラウドと運んでくるからオニオンナイト、君はバッツの手伝いを頼めるか?」 「うん!」 バッツは野菜の皮を剥いている間にオニオンナイトは皮が向けてる野菜を切り始めた。 そんなこんなで夕食が出来て、皆で食べた後に個別で風呂に入ってバッツはセシルの次に入ってから自身の部屋に戻った。 スコールと居たかったのにスコールは結局フリオニールに怒られた後にティーダに部屋に押しかけられてバッツは大きな溜め息をついて自身の部屋の扉を閉めた。 何時もだったら風呂上がりのベッドは何とも格別だが、今日はそんな気分にもなれないままバッツは目を閉じた。 次の日はもっと波乱が起こった。 それは今朝の事、セシルとティナが食料庫からバッツとフリオニールに頼まれたものを持って来ようとした時に中身がほぼ空っぽだった。 二人は頼まれたものだけを引っ張り出したあとに駆けてリビングルームに戻った。 扉が勢いよく開けたセシル。 「バッツ!フリオニール!大変だよ!」 「セシルとティナ?どうかしたのか?」 「どうしよう!今日の昼食と夕食の分が昨日まであんなにたくさんあったのに……」 「ほとんど空っぽになってたんだ!」 フリオニールは嘘だと思いながら朝食をバッツに任せて食料庫まで行くと二人の行っていた通り、昨日まで沢山あったはずの食料がほとんど空っぽだった。 食い荒らさた後も残っている事から…… 「ティーダ!ジタン!」 「悪かったっス!」 「だって腹が途中で減っちゃって………」 「腹が減ったも何も此処まで食い荒らす事あるか!?」 フリオニールはカンカンに怒っている。今回はスコールは無実だ。 バッツは内心少しホッと安心する。 今日はバッツとスコール以外は皆で食料調達に追われた。 バッツ達は寒い食料庫で仲間たちが積み上げるように持ってきた食料を入れ替えたり、積み重なるたりとバタバタ慌てていた。 「ふー……今日は豊作の日だったとはいえ、こんな簡単に見つかるものか?」 「フリオニールがいるから嫌でも直ぐに見つかるだろう。」 スコールの言う言葉に確かにと思いながら作業をしているとティナが現れて昼食が出来たと言ってきた。 皆で昼食をとった後に外組はまた再び食料を探しに出掛けたがフリオニールが今日はキャンプしてまで探すと言った。 実質、バッツとスコールは二人きりの貸切状態だった。皆が出払った後にようやくバッツはスコールの隣のソファーに座った。 「良かった……スコールと今日はずっといられるな……」 「そうだな。バッツ……愛している…」 「ん……あ、おれも……すき……だよ?」 キスをしながら言っているといきなり扉の開く音が聞こえて振り返るとティーダが怒った顔でバッツとスコールの間を割り、バッツを突き飛ばす。 「痛……ティーダ……?」 「スコールは俺と付き合っているんス! バッツの泥棒猫!」 「え……?」 ティーダの衝撃的な内容で頭がついていけないバッツは唖然とした顔でいた。 ティーダはフンっと鼻をならしてスコールを連れて出ていってしまった。 「(泥棒猫……?ティーダとスコールは付き合っていた…??)」 バッツはちんぷんかんぷんでティーダの言った事に少しモヤモヤしながら一人で夕食をとって、風呂に入った。 今日は寒いというのにスコールと一緒に寝ると約束を交わしたがティーダが連れて行ったので破棄となり、大きな溜め息をした後に部屋の鍵を締めてからバッツはベッドの上に転がり込んで涙を静かに零しながら目を閉じた。 朝になると隣に何故かクラウドが寝ていたのに驚いて飛び起きた。バッツはベッドから勢いよく落ちるとクラウドはその音で起きた。 「朝から騒がしい奴だな」 「さ、騒がしいって……!なんでく、クラウドがおれのベッドでっ!?」 クラウドは別にいいだろうと言ったがバッツとスコールからすれば浮気現場。ただでさえスコールの浮気?が発覚しているのに此処でバッツが「クラウドと付き合ってます。」なんてバレたらただでは済まない。 目に見えてるのに何故……と言うかクラウドは野外班だったのにいつの間にか鍵を締めたはずの部屋から入って来たのか疑問だ。 「部屋の鍵を締めておいたのに何で入ってきているんだ!?」 クラウドはクスリと笑いながら指を指す。それは窓からだった。木で押さえられている窓扉が確かに破壊されている。 「それ、普通だったら不法侵入だからなっ!?」 馬鹿じゃないのかと思いながらバッツがそう発言するとクラウドが近寄って抱きしめてきた。 バッツは必死に抵抗する。 「バッツ、好きだ」 「(嫌だ、聞きたくない!)」 「スコールはティーダとの仲だ」 「(おれが本当に聞きたい声はーーー!!)」 するとスコールは窓から入って来た。肩で息をしている辺り、全力疾走で来たのだろう。だが、バッツはそんな事は頭からすっかり抜けていて 「バッツ!」 「スコール!!スコール!!」 バッツは彼の名前を呼んで必死に手を伸ばすと彼はそれに答えるかのように伸ばした手を握った。 スコールはクラウドから引きはがすようにバッツの腕を引っ張って自身の腕の中に彼を抱きしめた。 「クラウド、俺はティーダにも言ったが何か勘違いをしていないか?」 「勘違い?」 「俺は最初からバッツしか本気で愛してない。ティーダとは友人だと思っている。」 スコールは鋭い眼差しでクラウドを睨んだ。ティーダが昨日言った泥棒猫とは実はとんだお門違いでスコールはただ友人だからと付き合っていたのだ。 「アンタはそこにつけこんでバッツを自身の腕の中におさめようとした。違うか?」 「ふ、アンタにバレているとはな。年下だからと随分甘く見てしまったな。」 「く、クラウド……?」 バッツにとってはクラウドは友人だ。恋愛感情があるのかと問われれば違うとはっきりと言える。 だが、クラウドはバッツを愛している。だからとティーダの恋愛感情と自身の恋愛感情でクラウドとティーダはスコールとバッツの関係を引き裂こうとしていたのだ。 「バッツ、俺は諦めない。俺はお前を愛しているから。 スコール、お前はティーダに俺と同じ言葉を言われただろう?」 「!?」 スコールは何も言わない辺り図星である。スコールはバッツの方へ戻る際にティーダに自身は友人としか思ってないと忠告するとティーダがバッツに言った言葉をそのままそっくり言われたのだ。 「まあ、今回は悪い癖が出てしまった。悪かったな。」 そう言った後にクラウドは部屋の鍵を開けて出て行った。 二人は安堵の溜め息をついた。 「バッツ、大丈夫か?」 「うん。ちょっと怖かったけど大丈夫だ。」 彼の少し心配そうな表情にバッツは彼をギュッと抱きしめた。 「あのな、スコールが来る前にクラウドに抱きしめられていた時におれ、思ったんだよ。」 バッツは頬を赤くしてスコールの右肩に額を当てて表情を隠している。だがスコールの視点から見ればバッツの耳は真っ赤だった。 「……スコールの声が聞きたいって……」 バッツは小さな声で言うとスコールも顔を赤らめながらバッツを強く抱きしめた。 イチャつき成分がないのに糖度高めの話なんて初めて…… 普段から少しズレた話ばかりのせいかもしれないなぁ…… |