失ったモノ・2(5+5'*FFV#死ネタ、他注意)

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*失ったモノの続き
*失ったモノにも書いてあった通りバッツや仲間達の救済は一切ありません。
*BADENDに限りなく近いものです。
*カップリング要素は一つもありません。
*死ネタ注意
*欠損注意


























バッツが去ってからレナとクルルの精神状態的に危ない為に近くのルゴル村に立ち寄って、ファリス達は宿で休んでいた。何時もその間にバッツが宿内で装備やらアイテムを揃えてくれるのだが、バッツが居なくなった事で改めて彼の行動の有り難みを物凄く感じた。
ファリスは一人ベッドに寝転がって、エクスデスの言葉が頭の中から離れなかった。
バッツが自分自身で悪魔に心を売った?ありえない、そんなやつじゃないと思いながらもファリスは頬から涙を零しながら目を閉じた。





* * * * * *





バッツは一人、エクスデスのいる次元の狭間の入口があるタイクーン城があった場所に来ていた。
バッツはレビテトでぐんぐんと空中へ上がって、無に呑まれた。
ゆっくりと目を開けると次元の狭間内にバッツはいた。

「ここが次元の狭間……」

危険な魔物や無の力が封印されている場所だと言われているがバッツはそんなことはどうでも良かった。
バッツの中にあるのはエクスデスを殺す。

それ以外、眼中になかった。

襲ってきた危険な魔物やオメガなど軽く退かすように倒していく。エクスデスの部下も道へ行くのに塞いでいたりしていた為にバッツはその魔物達も倒すと一つの宝箱に辿り着く。その宝箱から神の竜が現れた。
だが、バッツは箱の中身だけにか興味がなかった為に神竜も軽く倒して、箱の中身のアイテムを獲得するとその剣とブレイブブレイドを持って大樹が見える場所に向かう途中でギルガメッシュと出会った。

「バッツ……!?」
「ギルガメッシュか?ちょうどいいや、しね」

「意味分かんねーよ!?」

ギルガメッシュはそうツッコミながらもバッツの剣を受け止めたり避けたりしている。最初は殺す気で斬りつけたがギルガメッシュはやはり強いと判断したのかバッツは飽きたような顔をして……つまんない、やっぱりほっとく。と言うとギルガメッシュはまたツッコミをした。

「お前、だから意味分かんねーよ!?」

バッツはギルガメッシュに背を向けながら意味は知らなくていいと言って、ギルガメッシュから去って行った。
バッツは次元の狭間のラストフロアの階段前に辿りついて、バッツは心臓部分に右手を当てながら

「(おれはもう、全てを捨てた。この身は復讐や恨みを晴らすまで……例え全てが朽ち果てる事になってもエクスデスだけは許さない……!)」

その目は復讐に焦がれている目をしていた。

一方、ファリス達は飛空挺に乗ってタイクーン城があった場所から次元の狭間に辿りついた。次元の狭間内に入ると色々な魔物達がまるでゴミのようにその場で、殺されたまま転がっていた。
三人はあまりの悲惨な惨状に言葉にも出来なかった。
この惨状からしてバッツが殺ったのだろうと容易に推測出来た……というのも多分、邪魔としか思ってなかったのだろう。

ファリスは浄化しれてない魔物達を自分達の力で浄化した。

「バッツ……なんで…なんで?」
「………レナ、悲しんでる場合じゃないぜ?バッツは此処にいる。まだ止める手立てがあるかも知れないのにレナは諦めるのか?」

ファリスの言葉にレナは首を横に振ったあとに諦めないの言葉を聞けてファリスは安心しながらバッツのいる可能性が高い一番奥のフロアへ駆けて行った。





* * * * * * *





バッツは大樹が見えて、後は先に進むだけだと思った時に後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
振り返るとそこにはかつての仲間達がバッツが自分自身で闇に手を染めたと認めていない目をしていた。バッツの中では既に仲間達と清算している。
だからもう、仲間達とは一つも思ってなかった。寧ろ、邪魔でしかなかった。

「バッツ!お前はこのままじゃ、朽ち果てるだけだぞ!?」
「……そんなことは言われなくともそれくらいわかっている。
自分が、このまま復讐心だけにいつか囚われて朽ち果てるだけだって。」

バッツは赤い目で、三人を睨みながらそう言った。ファリスは悔しかった。
言葉からしてバッツ自身が自分自身で、悪魔に心を売ったのだと。
そして、エクスデスのあの時の言葉は真実だったのだと……それを知ったと同時に絶望に叩き落とされた。
バッツは何も語らずエクスデスのいる大樹へ向かおうとするとクルルがバッツの前に躍り出て、通せんぼをした。

「……そこをどけ。」
「いやだ、退かない。」
「どけ。」

バッツはそう言いながらも手の平からフレアの魔法を出すとクルルは一度怯むも、バッツがもう一度退けと言ったがクルルいつまでも退かない。
バッツは溜め息をつきながら後ろにいたファリスとレナに向かってフレアの魔法を何の躊躇いも無く放った。
ファリス達は間一髪で避けたが、バッツの行動にクルルは膝をつけた。バッツは憐れだなと思いながら大樹へよるとエクスデスの上体だけが出てきて、エクスデスは

「ファファファ!私はついに……無の力を手に入れた!!」

そう言って高笑いした。しかし、バッツはどうでもよさそうな顔をしてエクスデスにブレイブブレイドを向けて

「お前はおれに殺されて、俺と共に朽ち果てろ!!」
「そうはさせないぜ!」

ファリスはそう言いながらもバッツに向かってメテオを放った。バッツはそれを魔法障壁でガードした。

「ファリス……!ジャマしに来るな!」
「バッツ!絶対に戻してやる!」
「は?戻す?おれはもう戻れないし、戻らない。この心と体……全てが朽ち果てるまで!」

バッツは本気でそう言いながらもファリスに攻撃をやり返す。
そして、三つ巴だが最終決戦の戦いが始まる。

バッツはエクスデスに攻撃を集中している間を邪魔するようにファリスはエクスカリバーでバッツのブレイブブレイドを受け止める。
バッツは睨みながファリスと少し距離をあけた後にファリスに向かって速攻してきた。
彼にはファリスの動きがバレているために何処をどうすれば崩れる位、知っていてはっきりと言うとファリスが圧倒的に不利だが、ファリスはバッツの癖も知っているので若干、お相子の部分があった。
ファリスは、バッツの振るう剣に少し掠って少し血が出るとレナは慌てるようにファリスに近づいて

「姉さん!今、回復するわ…!癒しの光を……ケアルガ!」
「レナ、悪いな!」

クルルは詠唱を唱え終わると彼女の前に竜王、バハムートを召喚させた。
バハムートの狙いは、バッツとエクスデスに向かってメガフレアを放つが、バッツはエクスデスを盾にして隠れるがエクスデスは避けきれないためにメガフレアを直撃で受ける。
その隙にバッツはエクスデスの背元から深紅の剣ブレイブブレイドと黄金の剣ラグナロクの二刀流で、剣にはフレアの魔法をまとっていた。その剣でエクスデスの背を貫こうとした時にファリスとレナはバッツとエクスデスの間を狙ってダブルフレアのようにフレアを放つとバッツは避けるが目の前でフレアが炸裂する。
バッツは地面に足をつけた後に魔法剣二刀流の状態でレナを狙ってきたがファリスがレナの前に躍り出て、エクスカリバーとディフェンダーの二刀流で受け止めた。

その時、ファリスはバッツとのとある会話を思い出していた。

それは旅をして間もない頃、ガラフがまだ生きている時にバッツはテントの中で剣の手入れをしているのを見ていたファリスは関心するように

「お前さ剣もそうだけど、色々と精通してるよな?」
「そうか?まあ、殆ど親父からの直伝何だけどな。」

その時はガラフが記憶喪失のままでバッツの父親の本当の過去とかそんなのがまだ分らなかった頃だがバッツは悲しそうしながらそう言っていた。


「バッツ……!」
「ファリス……!」

二人の二つの剣がぶつかり合う。
バッツはフレアを剣にまとわせて彼女に向かって剣を振り翳す。ファリスはバッツの剣を受け止めながらバッツに攻撃しようと試みるが、バッツの方が上手で何をしようともバッツは攻撃を上手く避けてから彼女の弱点を的確に突いてくる。
バッツがファリスの相手に集中している間にクルルは再びバハムートを召喚し、レナは白魔法のホーリーでエクスデスに攻撃をする。

「聖なる光の珠の雨よ!降り注げ!ホーリー!」
「ウゴゴゴゴ……無とは…一体……」

エクスデスが急に揺らぎ出した。
ファリス達やバッツもその気配に気づいた。バッツは無に心を呑まれたと口にした。
エクスデスは無を求め過ぎたが故に無に支柱に治めたがあまりにも強大な力に耐えきれなかったのかエクスデスが急に変形しだして、人のような姿に全ての集合体となったその姿は気持ち悪いとも言えるほどだった。

「我が無の力の前に滅せよ」
「は、無を求め過ぎたが所以か……憐れだなエクスデス。おれが楽にしてやる。」
「バッツ!俺との勝負はついてない!」

バッツはファリスの声を無視してネオエクスデスに攻撃し出すとバッツは急に詠唱しだした。
其の位置はファリス達諸共巻き込む範囲の場所だった。
バッツは詠唱しながらファリスたちの動きに合わせてゆっくり動いたあとに

「全てを滅せよ!暗黒に染まりし竜王!へレティック・バハムート!!」
「へレティック……?」
「へレティックはダークって意味なの……だからあのバハムートは、ダークバハムートよ。」

へレティック・バハムートはメガフレアを出してきた。
三人は避けるがネオエクスデスは一部が直撃した。その直撃した部分が急に溶けだした。
あまりの気持ち悪さにクルルが思わずレナの背で怯えていた。
へレティックが召喚される技の当たった部分はどうやら悪影響を与える力も秘めていた。
バッツはまた詠唱し出す。
レナはそれに気が付いてバッツとエクスデスに向かってホーリーを放つとバッツは詠唱を止めて避ける。

「へレティック召喚獣だけは絶対に召喚させないわ!」
「チッ!!フレア!」
「キャッ!?」

バッツはレナに向かってフレアを放つとレナはギリギリ避けるがその場で尻もちをついてしまう。

「レナ!?」
「レナお姉ちゃん!!」
「エクスデスと共にお前達も葬ってやるよ………アハハハ!!元仲間の手で殺してもらえるだけ有り難く思えよな?」

バッツはそう言いながら詠唱を始める。クルルはそれに気付いて彼女も詠唱を始めた。
最初に発動したのはバッツでヘレティック・バハムートを繰り出すとクルルもなんとか詠唱が終わり、バハムートが現れる。
二つのバハムートが互いにメガフレアを放った。
二つのメガフレアは互いに相殺して、衝撃波を生むほどの巨大な力がその場で爆破する。
バッツは舌打ちしながらその場で立っていて、三人は吹き飛ばされないように必死に縮こまって耐えていた。

「チッ、まあいいや……エクスデスさえ殺せればおれは何も後悔はないっ!」

バッツはブレイブブレイドとラグナロクにホーリーの魔法をまとわせてエクスデスに喰らわせる。ネオエクスデスの下半身部分の集合体が消え去る。

「チッ!俺がバッツの動きを封じている間にレナとクルルはネオエクスデスにトドメを頼む!」

二人は頷いてレナは魔法を詠唱し出す。クルルはアイテムのエリクサーを使って体力と魔力を回復させた。
バッツがレビテトで宙に浮きながら再び詠唱しだすとファリスは、へレティック召喚獣の召喚を阻止しようとバッツに向かってファイガを放つ。
バッツはそれに気が付いてすぐに詠唱をやめて避けた。地に足をつけた後に速攻でファリスに近付いてきた。ブレイブブレイドとラグナロクの二刀流でバッツは剣を振り翳すとファリスも二刀流で受け止めた。
ファリスが弾いた後にシルドラを詠唱して召喚させてシルドラはバッツに向かってサンダーストームを放つとバッツはシェルを発動させてシルドラのサンダーストームを耐えている。シェルでバッツは何とか耐えきり、今度はバッツが召喚獣を詠唱し出すと現れたのはへレティック・シヴァだった。
へレティック・シヴァはダイアモンドダストを放ってきたがファリスもシェルを張って耐えているが相手はへレティックの所為もあるのか、シェルがまるで役に立たなずでだんだんとシェルの壁が溶けだしている。

「(ヤバイな!!このままじゃあ俺が殺られっちまう!)」
「チョコボ!!」

クルルはバッツに目掛けて召喚獣の"チョコボ"を発動させるとバッツの集中がチョコボの"チョコボキック"によって切れて、シヴァが消えたと同時にファリスの展開していたシェルが溶け消えて、地面に膝つくとレナは寄ってきて、ケアルガで回復してきた。

「悪いな、レナ!」
「大丈夫よ!姉さん!それよりバッツを……!」
「分かってらぁ!バッツ!」

ファリスは屈んだ後にスピードをのせて駆ける。バッツは睨んだ後にファリスの剣を受け止めた。
鍔迫り合いで戦っている間にレナとクルルでネオエクスデスを追い込んだ。
ネオエクスデスの本体のみとなったのをクルルは一度バハムートを召喚し、レナはそれを真似た。そこからクルルも真似て、バハムートの召喚を連発させた。

「バッツ……エクスデスはもう、死ぬ。お前がもう戦う理由は……!」
「!!……言ったよな?もし、お前たちの手でエクスデスを殺したら……
おれはお前たちを恨み殺すってな!!!」

バッツは鍔迫り合いしながら力を込めた。
ファリスは何とか受け止めるが流石は男の人と言ってもいいだろう。パワーはバッツが勝って、ファリスは吹き飛ばされた。
バッツはファリスを無視してネオエクスデスへ向かっていく。
レナとクルルが後一息というところでバッツが三人の間に混ざる。

「ヘレティック・ラムウ!裁きの雷!!」
「キャアアアァァァァ!!!」
「ウゴゴゴゴゴ……!!!」

するとネオエクスデスの周りから歪みが発生した。
無すら歪めるそのパワーにここにいるファリス、レナ、クルルは存在がかき消される気がした。
しかし、バッツは動じてない。

「は、宇宙の法則が乱れるだ……?
存在をかき消そうとしたっておれには効かないぜ?」

そう言うと同時にバッツの周りから黒い霧が心臓部分にあるクリスタルから出てきてる。

「風のクリスタルごと、闇に染っているの……!?」
「とにかく、レナとクルルはネオエクスデスにまだまだ集中!俺は何とかバッツを止める!」


二人はファリスの作戦に頷いた後、ネオエクスデスの元へ走る。ファリスは再びバッツの前に立ちはだかる。

「ファリス……いちいちおれの邪魔するな!!」

鍔迫り合いが始まるがバッツには怒りがこもっているのか力が先刻よりも強くて重い。
剣も流石は、勇気の剣と終末の剣と呼ばれるほどの強さを持っている。
エクスカリバーでラグナロクを弾いて、ブレイブブレイドの攻撃をディフェンダーで押さえるがどう見てもファリスの方が防戦一方だ。

「(バッツの動きが想定しにくい!!)」

彼の攻撃は魔法剣と乱れうちを二刀流で合わせた魔法剣二刀流みだれうちと呼ばれる力でファリスを翻弄しているからだ。
一方でレナとクルルは、最後の力を振り絞りクルルは召喚獣バハムートを召喚し、レナは時空魔法メテオを詠唱した。

「やっ、やった!」
「はぁ、はぁ……」

しかし、バッツと戦っているファリスは彼の異変に気が付いた。
彼の周りから闇のオーラが絶え間無く出てきている。
目の色が恐ろしい程に赤く、憎しみと怨みが入り混じった……恐怖を感じる位の殺気まで丸出しでファリスを睨んでいる。

「……エクスデスをよくも殺したな……!」
「ば、バッツ……!?」

ネオエクスデスを倒した二人はバッツとファリスの元へ来たが、バッツの恐怖を感じるオーラに思わず足が竦んだ。
ファリスも足が竦んで、腕も動かせない。
その位の圧がかかっている。
消えかかった無の空間を無理矢理バッツの力で再び無が復活する。

「そ、そんな……!?」
「……バッツを殺さない限り……この世界は救われない……の……?」

クルルが涙を零して言うとファリスは二人にはバッツを攻撃しないように言った。
確かに疲れてはいるがこの気配ではファリスが一人で相手に出来るようなものじゃない。
もしかしたら、このまま三人……いや、四人一緒にさようならだ。
ここまで来たらあと一つの方法しかなった。それは自分の罪にもなる事。しかし、彼女二人にはそうさせたくないとファリスは思い、自分で手を汚そうとした時にレナとクルルは彼女のしようとした事に同意するように

「ファリスお姉ちゃん!私も戦うよ!」
「クルル!?」
「バッツ……ごめんなさい……」
「レナまで!?」

ファリスは二人を見た。
クルルとレナの表情は覚悟を決めたような顔だった。そう、彼を生きて救う方法はもう消えてなくなってしまった。
今、目の前にいる彼は悪魔だ。
ファリスは、エクスカリバーとディフェンダーを握った。
バッツを唯一救う方法は、"死"だけ。最初、ファリスは自分の手を汚そうとしたが二人も自分の手を汚す覚悟でバッツの前に立ちはだかる。

「大丈夫だよ、バッツ……」
「今すぐに、心を楽にさせてあげるから……」

クルルはバハムートの詠唱を始めて、レナはメテオを詠唱した。
ファリスは

「痛いけど、我慢してくれよ……」
「………」

バッツは何も語らずにファリス達を襲ってくる。
ファリスとバッツは鍔迫り合いして、本気の殺し合いをしだした。
彼の剣を唯一止める方法は、腕を斬る。
ファリスは躊躇いなく彼の右腕を斬った。レナはそれで詠唱を一度止めかけたが彼を楽にすると言ったんだと思い出してレナも躊躇なくバッツに向かってメテオを放った。

「……っ、」
「バッツ、もう苦しい想いも…痛い想いも…しなくても大丈夫だよ……?
最後のお願いです、バハムート……バッツに安らぎと裁きの息吹を……」

クルルはお願いして言うとバハムートは現れて、バッツに向かってメガフレアを放った。
彼はメガフレアに当たり、跡形もなく消え去ったと思いきや、姿が残った。
彼は左手で持ってたラグナロクが消えて、その場でうつ伏せになって倒れた。

「バッツ……」
「……痛い……」
「!?バッツ!!私達の知ってるバッツなのね!?」

バッツの一言にレナは反応して、二人も驚いて彼に近づく。
三人はすぐに白魔法を詠唱しようとしたがバッツが左手を前に出した。

「どのみち、……助からない……さ、」
「え?」
「力も、出ない…し、右腕の、出血の…量も、こんなじゃ……」

バッツは左手で残っている右腕の部分を握った。どうやら、ファリスの右腕の切断が一番効いたらしい。

「……あ、そうだ……」

バッツは思い出したかのように左手で心臓部分に手をあてて、自身からクリスタルの欠片を取り出した。
風のクリスタルの欠片は僅かに光を取り戻していた。

「……クリスタルにも……悪い事…しちまった……な…」
「バッツ……」
「さあ、…クリス、タルを……持っ、て……此処から……!」

バッツは腕の痛みに思わず声にならない声をあげて、蹲る。
彼の失った右腕から大量の血液が広がっていくのを無の中なのにハッキリと見えた。


「おれは、もう、……眠いよ……」
「バッツ!!」
「レナ、クルル!」

ファリスが止めた。
そう、ファリス達は自分達の意思でバッツをこんな痛みを覚えさせた。
そして、彼を殺そうと決意したのもまた自分達自身だ。

「止めてやってくれ……俺達がそう思ったからバッツは自分の事は見捨てろと言ったんだ。」

「!?……」

レナとクルルは黙ってる事しか出来なかった。
バッツは荒い息をして、ファリスの言葉に頷いた。

「おれは、……もう、何も……失いたく……ない……から……」

もしかしたら、自分が彼女達を殺していたと考えてしまうと恐怖が増す。
堕ちるまで堕ちた心の闇は、クリスタルさえ豹変させた。全てはエクスデスが悪いんだと思い込んでいた。だが、彼女達は違う。
自分が力不足で、守りたいもの守りきれなかった……そう言う後悔を抱えているのに、

「おれ……ひとり、バカだ……おまえ……たちもくるしんで……いたのにな……」
「え……?」

気付かないなんて……いや、近くにいたから気付かない事なんて、普通なのに……なんでそんな当たり前の事を忘れていたのだろうか……?
当たり前だからこそ、忘れてしまったのかとバッツは自身を嘲笑った。
痛みがだんだんと遠のいていく……ああ、もう死ぬんだと何故だか直感出来た。

隕石がタイクーンに落下して、隕石で少女と老人との出会いがバッツの人生を一転された……
いや、多分既に決まっていた運命かもしれない。
父親がここに来てなければ自分は生まれてないから。
全ては、偶然と運命が絡まったモノがバッツを縛りつけていた。

きっと父親が母親が生きてる時に言ってた。
『お前は此処と母さんを守れ。』

その言葉の裏には、バッツとエクスデスが戦う運命を少しでも、断ち切ろうとしたのだろう。

そう考えていたら、これが死ぬ寸前に見る夢なんだと……

気付いたら三人の前には、何も話さずにただ血を流して横たわって死んでいるバッツが目の前にいた。

「あ、……いやあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「バッツ……!!」
「………っ!!」

すると、クリスタルが輝きを増した。
輝きはバッツを置き去りにして、元の世界へと弾き出された。
四つのクリスタルは形を変えて、元のサイズになる。無が呑み込んでしまった町や村は、クリスタルによって元の世界の形へと戻った。





* * * * *





エクスデスとの戦いから一年が経った。
まるで、あの出来事が夢物語みたいだとクルルは手紙に書きとめた。
バッツがレナを庇って、戦いの中で死んでしまったと嘘を言うことしか出来なかった。
何故なら、彼は誰も庇ってない。殺したのは、光の戦士であった自分達。
そんな事があったら、世界中に混乱を招きかねないとしてこれは三人の心に留めて置く程度にしか出来なかった。

書き終わった手紙を可愛い封筒にいれて、伝書鳩に手渡した。
手紙にも色々と嘘がまみれている。いつからここまで嘘をつかなくちゃいけないのか疑問だ。
だが、世界は甘くない。たった一人の人間を殺して犠牲の上で成り立ってしまった戦いに悔やむ事しか出来ない。

考えていた時に、クルルは突然と思い出す。
バッツは死ぬ間際に言っていた呟き。
自分が、馬鹿だと……そして、彼女達も苦しんでいるのに……と

この痛みは一生、死ぬまで忘れないのだろうなとクルルは悲しい表情をして、飛竜に乗った。




BADENDにしたけど、予想通りに暗くなりました。
この話を書く際に少しだけ、罪や心の闇を意識してました。
闇は深ければ深いほどに侵食してしまうから、自分はもう心の闇から抜け出せないんだとーーー、のような事を意識してました。

現実は抜け出せる人もいるけど、抜け出せない人もいる……のような想像をしました。
バッツだったこうかな……?とか、ファリスはこう考えるのだろうな、レナだったらこうやって対応してそう、クルルはこんなことしそう……などなど捏造と妄想を交えて考えて書いてました。
いつもダークチックだけど、いつも以上にダークになったので満足しています。
それでは、長い文書を読んで頂きありがとうございました。

一部執筆修正:2017.03.02




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