好きだから(85+α*現パロ)

10/4


*バッツがドSバッツ様
*スコールとジタンが何かと不憫
*恋のキューピッドのセシル様

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「獅子はどーせ子猫ちゃんだろ!?」
「バッツは相変わらずスコールに容赦ない言いようだな……」
「うるさいぞ、チビザル。」
「うぐっ……」

とバッツはズバズバと言ってしかもスコールの背中に座って気楽に足を組んでいる。

「「(性別的に男だから女王様じゃないけど、これは完全に女王様だ!!)」」
「チビザル。」
「は、はいっ!?」
「イチゴ・オレな?」

ジタンはバッツにお金を渡される。頭ではパシられていると気づいていながらも彼に逆らえないためにジタンは返事をして駆けて屋上から自動販売機へ向かって行った。

「バッツ……」
「様を入れろ。クソエロ猫野郎。」
「ぐっ………バッツ……さま……」
「そーそ。そのちょーし。」

と棒読み&適当に言う彼。
スコールは何時も彼の言いなり状態だ。少しくらい反撃したいが彼はドSのサドヒスト。なかなか思い通りには動いてくれはしないし、何せフラグクラッシャーでもある。

「にしてもチビザル遅いな……スコたんもそう思うだろ?」
「は、はい……(スコたん言うな!!)」

と話している内にジタンは荒い息をしながら屋上に戻ってきた。

「遅いぞ!ジタんぬ!」
「(ジタんぬ!?)え、えっと……自販機が混んでて」

バッツの飲むイチゴ・オレがある自動販売機はとても人気で良く混みやすかった。

「今日もあの自販機、混んでたのか!なら、しょーない。この心のひろーいバッツ様が許してやるよ!」
「「(嘘だ!心が狭いのの間違えだろ!?)」」

するとバッツはスコールを見ながら

「ああ、スコールをこんな風に弄れるなんて、おれ……とっても幸せだぜ……!スコール……」

とゾクゾクした顔でしかも本当に幸せそうな顔で言っているものだから余計にたちが悪かった。

「「(コイツ、真性のサドヒストだなっ!!?)」」
「あ、今日は午後雨降るのに傘忘れちまったなー?」
「……バッツ様……相合傘でもよろしいのでしたら………」
「スコたん本当か!?じゃあ、スコたんに免じて今日はここまでにしてやるよ」

とようやくバッツはスコールの背から降りた。
バッツは腕時計を見てもうそろそろ時間だと言って屋上から去った。

「バッツの女王様気質は何時も半端ないな……」
「そうだな。しかし、あれは照れ隠しだ。余り気にしなくともいい。」
「って思いたいだけだろ!?」

とジタンが言うとスコールは少し間を空けて頷いた。
ジタンは溜め息をついた後に

「大体、スコールは何で攻め返そうとしないんだよ?」
「……あのバッツの幸せそうな顔をされると攻めるに攻めきれなくてな………」

ジタンはスコールがそんな甘えた事を思っているからバッツがあんな酷いサドヒストをし出すのだろうと思ったがジタンは敢えて語らなかった。


* * * * *


教室に戻ったバッツにセシルが声を掛けてきた。

「バッツ、一緒に行こう?」
「あ、そう言えば移動教室だったか。」

と言いながらバッツは机の中から教科書類を取り出してセシルと共に移動する。

「最近、スコールと上手くいってる?」

セシルにそう問われてバッツは一瞬固まった後に唐突に

「……おれってサドヒストじゃん?」
「そうだね。幼い頃からバッツ様してるもんね?」

セシルはにっこりしながら言うとセシルの威圧感のある笑みにバッツは少したじろぐ。

「バッツはサドヒストでスコールはノーマルだもんね。傷ついてたらどうするの?」
とセシルの説得力のある言葉にグサリと刺さる。
「傷ついて無かったとしても飽きられたら?」
またグサリと刺さる。
「傷ついて、誰かにスコールを奪われてもバッツは平気なの?」

さっきの言葉以上の棘がバッツに突き刺さった。

「……止めたいんだけど……スコールのあの困った顔を見るとついつい弄るのが楽しくって……」
「………それって本当に真性のサドヒストだよね……?
下手をしてやり過ぎれば君たち破局だよ?」

巨大な言葉の針がバッツを貫いた。
思い当たる節が多過ぎてバッツはセシルの言葉に対して言い返せない。

「おれ、そんなに酷かったのか……」
「うん。元々酷かったね。
でも、バッツって僕にはバッツ様をしないよね?」

セシルにそう言われて返す言葉もなかったが、確かにセシルに対しては自然に話していた……と言うのも小学生の時、誰かに聞いた話でセシルに俺様をすると天罰が下ると言う噂があった為にいつの間にか自然体な話し方になっていた。

「いや、なんか小学生の頃の噂話でセシルにサドヒストみたいな俺様をすると天罰を食らうって噂が広まってて……」
「そう言えばそんな噂があったね。」

彼いわく身内の人が怖かったらしいのでいつの間にかそんな風に広まってていたらしい。

「バッツ、少しでもいいからバッツ様を止めてみれば?」
「………やっぱり止めた方がいいか?」
「バッツは特に真性のサドヒストだからね。少し自重した方がスコールとも別れずに済むかもしれないよ?」

セシルの真剣そうな顔にバッツは俯く事しか出来ないでいた。

バッツは授業が終わり、教室へ戻った後に机の椅子に座って突っ伏す。

「(……今日もバッツ様して……スコールが飽きたとか別れたい……なんて言われたらおれ……壊れそう…………嫌だ……!!)」


* * * * *


それはちょうど二ヶ月前……春の季節に突然、男の……しかもイケメンな顔をしている人物から告白された。
彼は、自分もバッツも男であると知っていながらも真剣な眼差しと不器用だけど温かい言葉に自身も惹かれて思わず頷いてしまった。
その告白してきた人物こそがスコールだった。
バッツはスコールと付き合い出してからだんだんと彼の事を知った。
真面目ながらも子どもっぽい所があり、何時も彼の周りは賑やかでとても楽しかった。
でも、それを壊したのはバッツの本心の性格……サドヒスト気質である事が凶となって今日の昼休みの凄まじさを思い出すだけでバッツは酷く後悔した。

「(ジタンにまた……あんなコンプレックスを言ってしまった……おれ、本当に最低だな……)」

外の空模様はバッツの心を映すかのように先の見えない真っ黒な雲に覆われて、土砂降りの大雨だった。


* * * * *



ようやく放課後になりバッツは昇降口で上履きからローファーに履き替えて出ると雨が授業中で見たより更に酷かった。

「(なんでこんな時に傘忘れたんだろう……確かにスコールと帰りたかったけど……こんな気持ちじゃあ一緒に帰れない……)」

バッツは土砂降りの雨の中、一人駆けて帰った。
その数分後、スコールは昇降口に来たがバッツは何時も待つ場所にいなかった。
すると後ろからセシルが声をかけてきた。

「やぁ、スコール。」
「セシル!バッツを見なかったか?」
「え?バッツなら先に帰っちゃったよ?聞いてないのかい?」

スコールはスマホを見るがメールや電話した様子すらない。

「バッツ……?」
「……もしかしてね……スコール、バッツを追いかけてあげて?」
「え?」
「あ、その前に少し一緒に過去のお話をしてあげようか?」

と言ってセシルは傘を広げる。スコールはセシルの言葉に疑問になりながらも傘を広げセシルの後を追った。
何時もの帰り道とは逆方向だがバッツの家の帰り道は此方のために大体は知っていた。
歩いている間は少し沈黙していたがセシルが唐突に話し出した。

「バッツは昔からあんな感じだったの。」
「いきなり唐突に何だ?しかも、あんな感じ……とは?」

セシルは謝りながらバッツの性格の事だと言うとスコールは驚いた顔をするとセシルは少し悲しそうに

「スコールは知らないと思うけど、バッツは幼い頃からサドヒスト気質だったんだ。」

スコールは初めてバッツの過去を知った。そして、その性格にすら困っていた事も……

「バッツはね、今まで気にしてなかった性格を急に気にしだしたのは君と付き合い出した頃からなんだ。
バッツを変えたのは紛れもなくスコールなんだよ?」

本当はとても恥ずかしがり屋で寂しがり屋でもある。
しかし、サドヒストであるバッツには無意識に毒を吐いてしまうのだ。昔からの癖を治すなんて簡単な事ではない。

「でも、バッツは必死に思い悩んでいるの。
今日も酷い事しちゃったな……嫌われたくない……スコールと少しでも近付きたいって……」
「バッツ……」
「ごめんね、君に押し付けてしまうけど……バッツのあの性格は正直言って治らない可能性の方が低いかも知れない……」

セシルは「それを聞いて諦める?」と問うとスコールは首を横に振って真剣な顔をしてセシルに言った。

「それでもバッツが好きだ。愛しているから……。」

セシルはきっと彼がこんなに真っ直ぐだからこそ、バッツも惹かれたのだと思いながらにっこりした後にとある公園を指した。
公園を見るとベンチで一人びしょ濡れで座っている男がいた。

「バッツ!!」

セシルはスコールが彼の元へ見送った後に帰えった。

バッツはスコールの声に驚いてベンチの上で体育座りをして恥ずかしそうに見るなと叫んだ。
スコールは固まった。

「スコール……こんなおれ嫌だよな?昼間みたいに毒を吐いて、傷ついたよな……?」
「バッツ……?」
「こんなおれ嫌だ!!なんでおれはこんな性格なんだよ!?」

バッツの涙と雨が一緒に混じって何が雨で何が涙とか温もりが分らなかった。

「おれ、天涯孤独に慣れたと思った。一人なら性格なんてどうでもいい……そう思ってた…。
でも、スコールと付き合う事になってようやく……自分の性格は最低だって気付いたんだ……。なのになかなか治らない、今日もお前とジタンにあんな毒を吐いて……」

傷をつけたと言った。スコールはセシルの言ってた通りだと思った。
バッツは付き合い出してようやく自分の性格を治そうと努力した。でも、癖が治らずに今日もスコールたちを傷をつけた……自分の言葉にちゃんと罪の意識があったのには気付いていた。

「セシルにも言われたんだ……今の性格のままでは別れちゃうって……おれ、本当にスコールの事好きなのに……好きなのに!!」
「バッツ……
(本当は一緒に誰かと居たかったんだ。いや、俺といたいが為に治そうとしている。)」

スコールはバッツに近付くとバッツが拒絶した。こんな自分を見ないでくれと……

「スコール……みないでくれ……本当のおれ、かっこ悪い……」

殻に篭っていた想いは爆発しそうだった。
好き…愛してるからこその想いは心からの想い。

「バッツ……俺はもっとカッコ悪い。アンタが悩んでいるのに気付きもしなかった自分が悔しい……!」

スコールは傘を捨ててバッツを抱きしめた。バッツが濡れてしまうと抵抗したがそんなこと構わずに抱き締める。

「バッツ、アンタの性格的に嫌かも知れない。でも、少しずつ治していこう……な、バッツ?」
「!?あ、……ちょ、調子に乗るんじゃねーよ……スコたんのばーか……。」

と耳まで赤くしながら弱々しく毒を吐くとスコールはクスリと微笑んで彼の耳元で

「照れ隠しか?」
「!!!?る、るっせー!!マジで調子に乗るなよ!!このクソエロ猫!!」

とバッツはスコールの腕から抜けてベンチから降りてあっかんべーとした後に走り去った。

「(……結局は現状維持か……治るまで、まだまだ先が思いやられそうだ……)」

一方でバッツは家の近くについて大きな溜め息をつきながら

「(またやらかしてしまった……!!)」

と一人後悔していた。



サドヒストバッツんは可愛いよねと思いながら執筆してました。


文章改行修正:2017.03.03




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