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――大型旅客機から小型旅客機へ、仮眠を取りながら乗り換えを繰り返した後で山岳列車に揺られ、ようやく降り立ったのは標高三千メートル超の山間にある小さな街。

周囲の乗客が空気の薄さで体調を崩す中、すんなりと環境に馴染んだ鈴歌は、街に二つしかない宿のうちの一つに手早くチェックインし、貴重品以外が入ったトランクを簡素なベッドに置いた。
できるだけ身軽にと厳選した貴重品の入った、幅薄だけれど収納性のあるウエストバッグを腰に巻き付け直し、ふわりとした衣類で隠すと、部屋に鍵をかけ、高鳴る胸を押さえつけながら日が高く昇った外へと踏み出す――。




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