『――お姉ちゃん』

痩せ細った腕を眺めていたある日、どこからか、声がしたの。

…透明な声だったわ。

『聴こえる?どうか返事をして…』

子供のようだけれどどこか大人びた、不思議な響きで。

「誰…?」

殺風景な部屋を見回しても、誰もいなかった。
もともとわたしの部屋にはあまり人は寄り付かないものね。

わたしは、この家にとって――

「この家に、とって…?」

考えようとすると、ずきりと頭が痛んだ。
思考を停止させようとするかのような痛みだったわ。




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