11
ぼんやりと。
ただ、ぼんやりと、霞む。
僕は、何のために生きているんだろう。
何のために、生かされてしまったのだろう。
…争いや病、たくさんの人が、失いたくない命を亡くしているのに、僕みたいな人間が生かされている…
役立たずの僕が紡げるのは、欠けた旋律だけ――。
「ソラ…」
夢で見た鮮やかな人物の名をぽつりと呟けば、誰もいないはずの個室に、甘い声が反響した。
ふわり、と、橙色の長い髪が揺れる。
鮮やかな青のワンピースに身を包んだ女性が、そっと立っていた。
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