「――カナデ、君の音はどこまでも楽譜に忠実だ。一音たりとも表現は誤っていない。だが、君の音は欠けている」

――…これ以上、僕にどうしろっていうんだ…

「カナデ。また先生にご満足頂けなかったみたいね。…何を俯いているの? そんな暇、無いでしょう? 早く弾きなさい」

「そうだカナデ、アリカの言う通りだ。落ちこぼれのお前が役に立てるのはこれだけだろう? 手を止めるな、弾き続けるんだ」

――…僕は…何で、弾いているんだろう…

「弾け」

「弾け!」

「弾き続けろ!」

「誰が休んでいいと言った!!」

――だ…

いやだ

やめてくれ…

僕は、もう――…


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