「すがたもわすれ、そらのはて――」
(ああ、ソラの声…だ…)
カナデは眼を閉じたまま、柔らかな歌声に意識を委ねる。
「ほしにとけて、ゆめになり…」
…あおとひとは、わかたれた
ものいわぬ、あおのかけらに
ひとは、おのれのつみをしる
わがみ、ささげてとむらいに
ひとはさいごのはねをてに
くらいうみにしずんでいった
やがてまっさらなだいちから
あおいつばさのいちわのとりが
はばむものないおおぞらへと
ゆうがにはばたく――…
それはひとのみたゆめか
あおのかなえたゆめか
しるすべもなく…
「――いまや、つかめぬゆめのゆめ」
そよぐ風のような、涙のような歌は、甘く柔らかく締めくくられた。
哀しげに微笑むソラの横で、カナデは小さく寝息を立てていた。