つう、と、見開かれた両目から大粒の涙がこぼれ落ちる。
「あ…あれ、どうしたんだろう? 僕、今何か…」
突然こぼれた涙をどうすることもできずに、ただ拭い続けるカナデは、歪(いびつ)な笑みをソラに見せて。
ソラはそっと傍に寄り添うと、カナデを優しく抱きしめた。
「――大丈夫だよ、カナデ。ソラに響くカナデの音は、とてもきれい」
「ソラ…僕は…」
「……大丈夫だよ。ソラがそばにいるから、カナデは、絶対に戻れるから」
ソラの淡い橙色の髪が、カナデの栗色の髪に触れる。
一粒、カナデの肩に滲んだ涙に、カナデは気付かなかった。