彼らは女神に呪われた | ナノ

三枚の手紙  

















――トキヤside




「如月?なんか社長が直々に休みだって伝えてきたけど…」


「……そう、ですか。
ありがとうございます、日向先生」


「いや、たいしたことねぇけどよ…」



初めて美嘉が学園を休みました

私達はいつも、朝だけは別々に登校していた

まぁ、レンが寝坊するのが目に見えてましたからね

でも今日、後悔…しました



「あの人が私達に無断で休むわけない…」


「トキヤー!!」



廊下を走って来るのは翔

美嘉が休みだと分かった瞬間、私と翔は休み時間の度に探したり、連絡もしました

レンは…授業にも出ずに、ずっと探し続けています



「連絡ついたか?」


「いいえ…。日向先生も早乙女さんに直接聞いたようで、美嘉の事は知らないそうです」


「そ、か……」


「………翔、早乙女さんに聞きに行きましょう」



翔は少しだけ困ったような顔をしたが、すぐに"あぁ"と言った
けど、その必要は無くなった



「Mr.イチノセあーんどMr.クルス!!」


「「っ!!!」」



いつの間にか早乙女さん後に立っていた

それにしても大きい声ですね



「これはMs.如月の部屋の鍵デース」



早乙女さんの手の中にあるそれは確かに美嘉の部屋の鍵だった

でも、何故早乙女さんが…



「な、なんで学園長が持ってんだよ…」


「それは企業秘密デース」


「それを渡してはくれませんか?」



確かに早乙女さんが持っている理由も聞きたい

ですが今は美嘉の状態が知りたい



「その為に此処に来まシタ」


「え?」


「ポイっとな」



早乙女さんによって投げられた鍵は、私の手の中に入った



「Ms.如月から直接預かりマーシタ
貴方たちに渡して欲しいとォ」


「美嘉が…?」



それだけ言い残して、早乙女さんは窓から出ていった

美嘉が早乙女さんに直接…?



「なぁ、トキヤ」


「………………」


「美嘉はさ、いつも部屋に居るときは、鍵、開けてたよな…?」


「………えぇ」


「それに…なんで学園長が持ってたんだろうな…」


「とりあえず、レンに連絡しましょう。必死に探していることでしょうから…」



そんなこと、考えたくもありません

今は早く…

美嘉に会いたい






―――――――――――………






―――ガチャ…



「ハニー?」



レンが鍵を開け、中に入る

美嘉の部屋はいつも通り

ただ、慣れ親しんだソファを見ると妙に淋しく感じた

――何処かに居るはず――

そんな思いを抱きながら、辺りを見回す

レンも翔も今にも泣きそうです

泣きたいのは私も同じなのに…



「っ……!!」


「「レン!?」」



ベッドの横に立っているレンがいきなり座り込んだ



「ハニーっ…!!ハニー……っ…!!」



急いで翔と見に行くと、腕の中になにかを持って大量に涙を流すレン

良く見ると、それは真っ白な便箋と紙だった

――嫌な予感がした――

翔がベッド脇にある、同じ真っ白な便箋を手に取る

私は怖くて、でも、知りたくて、『トキヤへ』と美嘉の字で書かれた残りの一枚を持った



「…っ………!!」





『愛してるよ、トキヤ』





あぁ、美嘉は居なくなってしまったんですね

直感的にそう思いました

目から溢れる涙に親しみが湧く

こんなにも美嘉に溺れていたんですよ、私達

ふと、手紙の他に何かが入っているのに気付く



「……ネックレス…?」



それは鳥籠から飛び立つ鳥が描かれた大きめのネックレスでした

どこかで見た覚えが、と一瞬思いましたが涙が思考の邪魔をする

先生方、今日はこのままで居させてください

気持ちの整理には時間が掛かるかも知れませんが、必ず戻りますから…



「…美嘉……っ…!!」
















三枚の手紙
(貴方達に宛てた"サヨウナラ")









prev / next

[ list top ]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -