黒子のバスケ | ナノ

◯ byりょーちゃん

今日は大丈夫そうスね!

七海っちの顔色は、体調そのものを表している。身体が弱い七海っちが嘘をついても、顔色を見ればすぐにわかるくらいにわかりやすい。悪いときは血の気がなく暗めに見えるけど、今日は明るくて綺麗な肌色をしていた。

スキップしたくなるくらいに気持ちが浮き立つ。

鼻歌を歌いながら、厨房に向かえば、そこには緑間っちがコック帽をかぶり、何故か髪には音符の髪飾りをつけ、フライパンをふるっていた。

「あぁ、黄瀬か。で、主の様子はどうだったのだよ」

「緑間っちー、その主って呼ぶのヤメない?名前で呼んであげたら、七海っちきっと喜ぶのにー」

「い、今さら何を言うのだよ!っ、それより俺は様子を聞いているのだ、それによってはメニューを考えなければならないのだから早く言うのだよ!」

あーあ、顔真っ赤だよ
でもほんと喜ぶのにな

七海っちの体調がいいことを伝えながら、額にうっすら汗を掻きながら調理する緑間っちをみた。

緑間っちは恥ずかしがって名前を呼ばない。
だけどこの家に来てからずっと、主と呼ばれるたびに、一瞬悲しい目をする七海っちをオレは知っていた。だから尚更、呼んであげて欲しいのだけど、七海っちも彼が照れ屋さんなのを知っていて、何も言わないのだから、オレがわざわざ言うのはおかしいことだ。

「サラダ並べ終えたよ、ミドりん!私、制服に着替えちゃっても大丈夫かなー?」

「問題ないのだよ。黄瀬もぼさっとしてないで、早く着替えてこい!」

「わかったっスよー」

厨房から追い出されて、桃っちと苦笑い。

「なーんか機嫌悪くなかったスか?緑間っち」

「そうかな?いつもと変わらなかったと思うけど…」

ラッキーアイテムつけてたしと、笑う桃っちに、オレは首を傾げた。

気のせい…スかね?
それならいいんスけど

桃っちと別れた後、自室に戻って制服に袖を通した。

今は何も考えなくても、Yシャツを着れるし、ネクタイも結べる。今は自然と学校へと行くことができるし、下を向くことなく、真正面だけ向いて門をくぐれてる。それも一人じゃなくみんなと一緒に。だからそんな仲間をくれた、そんな生活を与えてくれた七海っちには、感謝してもしきれない。

着替え終わって厨房を覗くと、すでに緑間っちの姿はなく着替えに行っているのだと気付いた。そのままダイニングに向かうと、テーブルの上には先ほどの音符の髪飾りがあった。

「あれ?緑間っちこれ身に着けてなかったスか?」

『あ、りょーちゃんさっき振りだね?
それね音符の部分が剥がれちゃったみたい。今、接着剤でつけたとこなの』

「そーなんスか…」

テーブルには、制服を着た七海っちに、黒子っち、桃っちに、眠たそうに目をこする紫っちに、青峰っちがそろっていた。あとは赤司っちに、緑間っちだけみたい。

……機嫌が悪かったのは壊れかけてたから、スかね?


虐めで登校拒否になった子

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