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side:hotaru じんたんがいなくなった後、暫くは気まずさが抜けなかった。 けど、ぽっぽが「あ、そーいや焼きっぱなしだよな」と声を上げたことでようやく少し空気が変わった。 「しっかし、香ばしいことになっちまったなぁー」 と、肉にかじり付きながら、ぽっぽが言った。その様子を見て瑠衣は『肉食系ぽっぽに進化』なんてナレーションをしてみた。もちろん心の中で。 そのうち、つるちゃんとぽっぽが会話を始めた。内容は確かめんまちゃんの着てたワンピースについて。 「久川がみためんまってどんな感じだった?」 「えっ?んと、白いワンピースで……」 「この辺りに小さなリボンがついてるんじゃない?」 胸元とトントンと人差し指でさすつるちゃん。それをヒントにぽっぽが顎に手を当て考えていて…。 耳には入っていたけれど、僕はその会話には参加せず、別のことを考えていた。 目が真剣だったじんたん。 ゆきあつの言葉に必死で反論してた。 たまにゆきあつから視線を外して、林の方を見て、悔しそうに俯いて… 僕は迷信やら非科学的なものなんて、あまり信じる質じゃないけど、でもじんたんは信じられる。 矛盾だってわかってはいるけれど、すぐ嘘が顔に出る実直なじんたんがあんな嘘をつけるはずない。 それも大好きだっためんまちゃんの幽霊だなんて、いたずらに口にできる単語じゃない。 ぽっぽが「ほたる〜!!つるこがミステリアスガールすぎてついていけねぇーよー」と泣きついてくるまで、ぼんやりと突っ立ったまま自分の持ってきたサラダを口にしていた。 家について、お風呂に入って、明日の準備をして。いざ寝ようと布団を被った。 『(あ、ケータイ…)』 そう言えば、ポケットに入れて帰ってきて…。 段下に探しにいけば案の定洗面台横の棚の上にケータイが放置されていた。ゆきあつが来る前に交換して追加されたアドレスは3件。ぽっぽ、あなる、それからじんたん。 脳裏にふとじんたんの顔が浮かんだ。こんなことでへこむようなことはないだろうけど、やっぱり心配だ。 時計を見れば、すでに22:45。 ちょっと遅いかもだけど、送らないよりはいいかな…。 僕は新規メール作成画面を開いて、メールを打った。 to:宿海仁太(じんたん) sb:遅くにごめんね ---------------------- 僕は、信じるよ。 じんたんのこと じんたんがめんまちゃん のことを、冗談で言える はずないって思ってるか ら。 ×
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