あわあわランドリー


「こんにちはー」
「んぅー、もう食べれないC〜…」
「……あれ、」

GW半ば、行きつけのクリーニング屋さんに行ったら居たのは馴染みあるおばさんでもおじさんでもなく金髪のひつじさんでした。



課題もあらかた片付き、もうすぐで連休も終わるななんて思ったお昼時。
ご飯も食べ終わってぼーっとしていたら、そう言えば春休みの間に制服をクリーニングに出すのを忘れてたと思い当たり家を出たのがついさっき。
外は絶好のGW日和でぽかぽかとした日差しに爽やかな風がそよそよと吹き抜ける。
ああ、もう少しで夏かとぼんやり考えながら今日はおばさんかなおじさんかなと馴染みのクリーニング屋さん夫婦を思い浮かべながら戸を開ける。と、飛び込んできたのは陽の光にきらきらと反射する金髪で。

「………男の、子?」

見かけないその子に何故か懐かしさを覚えて少しじっと観察してみる。
多分、年は同じくらい。カウンターに腕を枕にしてむにゃむにゃと気持ち良さそうに眠っていて、くるくるふわふわとした金髪が羊を彷彿とさせる。

…おじさんとおばさんの甥っ子とかかな?
息子さんだったら多分絶対会ったことあるはずだけど、私この子と会ったことないし。
この気持ちいいお天気だもん。眠くなっちゃったんだね。

ふふ、と笑みをこぼせば、ぱちりと開かれる目。あ、起こしちゃったかな。

「…おはよ〜、あーよく寝たC〜」

ぐーっと伸びをした後、脱力したまだ眠そうなひつじ君に誰?と問われて慌ててしまう。え、あ、え、

「如月琴子です」
「ふーん、俺はねー芥川滋郎」

…人の名前を聞いてふーんって。
まぁ座りなよーと奥から椅子を引っ張って自分の横に並べる滋郎君の好意に甘えて椅子に腰を降ろしながら、何か不思議な子だなあと思う。
身体から力が抜けていくのを感じながらも何だか可笑しくてふふっと笑うと、ひつじ君もとい滋郎君もにへーと笑う。

「あ、それうちの制服ー」
「え?そうなの?もしかして同じ学校?」
「うん、そーみたいだねー」

まぁ氷帝って広いし生徒の数も半端ないしなあ。
あ、じゃあ懐かしく思ったのは校内で見かけたことあったからかな?んー?

「…俺たち初めましてだよねー?」
「うん、そのはずだけど…」
「なーんか、前に会ったことあるような気するんだよねー」

不思議だC〜って笑いながらまた腕に顔を埋める滋郎君。
ほんとに不思議。
この曖昧な記憶も滋郎君自身も。
ふわふわしてまるで掴み所がなくて、もこもこと沸き上がるのに触ったら消えてしまう泡みたい。
頬杖をついてそんなことを思ってふと横を見ると滋郎君はいつの間にかまた寝ていて。

全てに安心したようにすやすやと眠る滋郎君とほんのり香る石鹸の匂い、ぽかぽかとした陽気と時折さぁっと吹く風、そういったものを感じている内に私の意識も飲み込まれていった。




あわあわランドリー

(ちょっと、あなた来て)
(ん? …はは、仲良いなあ)


…………………………
ひそかに昔、公園で遊んだことあるとかだったら可愛いなあ

\ジロちゃんはぴば!/


 

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