「何故ですの?」 「・・何がだ。」 あれから三日。 息を吹き返したものの未だに眠り続けているニカに会えないミツキは、神田を呼び出した。 「ニカを何処に隠してらっしゃるの?」 「まだ寝てやがるんだよ、目を覚ましたら一目散にお前の所に行くだろ、アイツなら。」 「寝ていても起きていても関係無いわ、ニカの側にいたいの。」 そう言って鋭い目付きで神田を睨み付けるミツキ。 「ニカだってそれを望んでいるはずよ。」 約束したもの、ずっと二人だけで生きて行くって。 私を護ってくれるって。 それなのに・・ 「貴方の所為よ。」 ダン、 ミツキは神田の胸ぐらを掴んで壁に押し付けた。 「貴方の所為で、私は・・」 「ニカを殺した、とでも言うのか?」 そう・・、よ。 二人だけで生きて行こうと誓ったのに・・。 「久しぶりに会ったニカは違う香りがした。」 羊水の香りがしなかった。 石鹸の香りがしたの。 そして・・ 「貴方の話しをしたのよ。」 ニカの口から違う人間の話しなんて、聞いた事なかったのに。 ―・・笑って、いた。 「貴方がニカに近付くからじゃない・・!」 どうして・・ 私を置いて行かないと、ずっと隣に居るからと、ニカは言ったのに。 「ニカの口から・・他のヒトの名前が出るだなんて・・許せない、」 私だけを見ていて。 彼女はずっと私のモノなの。 「あの子から離れて!」 私から彼女を盗らないで。 「それは出来ない。」 「っ、」 はっ、と息を飲んだ。 「俺はニカが好きだ。」 ―・・何を言っているの? 「お前がアイツを傷付けると言うのなら、俺はアイツを護る。」 何を、言っている、の? 「ニカが好きだ。」 何を、 「何を言ってるのよ!」 バシ、 右手が神田の左頬を殴る。 殺意が芽生えた。 殺してやろうと思った。 でも・・ 「何を、してる・・!」 大切なあの子の声が後ろから聞こえた。 一瞬、肩を震わせて神田を掴んだ手を離す。 ぐらりと揺れたニカの身体。 直ぐに駆け寄り受け止める神田。 「っ、平気か?」 「触るな、お前・・ミツキを泣かせた、のか・・!?」 ニカは苦しそうに呼吸をしながら私を見る。 「ミツ、キ・・。」 「・・ニカ・・。」 私へと伸びた手。 そっと指を絡めて答える。 私の居場所はここにしか無いの・・。 「泣くな、お前は笑ってる方が可愛い・・か、ら・・」 そしてニカは瞳を閉じた。 ×
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