そして数時間後。
サブロがカルエゴの言う事を無視して金剪の谷のコースを進み、その結果入間と共に金剪の谷に長に連れられゴールまで来たりと少々問題もあったが問題児クラス全員がゴールする事が出来た。最後に飛び立ったアリエノールも途中でエリザベッタとケロリと合流し一緒にゴールしていて先回りをし既にゴールで待っていたカルエゴを見てパッと笑顔になる。アリエノールは出発時にした約束を勿論覚えている、無事ゴール出来たらおかえりのそれをしてやろうと言うカルエゴの言葉を忘れるはずもなくカルエゴを見ると目が合った。だが今はクラスメイトも居るしそんな中でアリエノールが「カルエゴ様」と話しかける事はない。それにそうでなくてもそんな事を言える状況ではなかった。
何故なら皆がゴールしたその後に大変な事が起こったからだ。
位階の章を授けてくれる位階袋鳥がとんでもないモノを出してくれた。順調に皆の章を出していたのに入間が手を入れた途端この数百年鳴いた事すらないらしいのに突然鳴き出し大騒ぎをし、そこから手を離した入間の元に章は無く、代わりに入間の指には金色の指輪がはめられていたのだ。その指輪からは黒いなにかが出ていてそれは断末魔のような叫び声を上げるしサブロやアスモデウスの魔力を吸うしで騒ぎを起したが、音を聞きつけた理事長サリバンが来てくれてなんとか騒動は治まった。サリバンによるとその指輪は「悪食の指輪」と言うらしく持ち主の魔力を溜めておく魔具だが中身が少なくなると無差別に魔力を食べてしまうというものらしい。
そんなこんなで、初授業はなんとか終了し各々がガヤガヤと教室に戻る中入間と居るサリバンの下にアリエノールがやって来た。
「おじさま!」
「やぁアリエノールちゃん!どうだい、学校生活は順調かな?」
「はい!おじさまのおかげで毎日楽しくなりそうです!ありがとうございますサリバンおじさま!」
「いいっていいって〜!」
サリバンとアリエノールが仲良く話しているから邪魔にならないようにと入間は少し離れる。アリエノールが理事長であるサリバンのことをおじさまと親しげに話しているしサリバンもアリエノールの事を「アリエノールちゃん」と呼んでいるから二人は知り合いなのだろうか、と入間が思っていれば。
「入間くん入間くん」
おいでおいで、とサリバンに手招きされて入間はサリバンとアリエノールの元にやって来た。
「こちらブエル・アリエノールちゃん!アリエノールちゃんは僕の古い友人のお孫さんでね、だから僕もアリエノールちゃんの事は小さい時から知っているんだ」
「そうだったんだ!」
成る程、だからそんなにも仲が良いのかと入間は納得する。
「ブエちゃんってば昔っから孫娘自慢がひどくてね〜会う度にうちの孫娘が一番だって言ってくるんだ。でももう僕もブエルに負けないぐらいのかっわいい孫が出来たけどね!」
今度ブエルに会う時が楽しみだな!と言ってサリバンは入間の周りをクルクルと回る。そんなサリバンを見て「おじさまとっても嬉しそう」と言ってアリエノールはニコリと微笑んだ。
「アリエノールちゃんも入間くんと仲良くしてね!」
「はい!」
勿論です!アリエノールはそう言って入間の方を見る。
「よろしくね入間くん!」
「う、うん!こちらこそよろしくね!」
そしてスッと手を差し出して入間もその手を取り二人は笑顔で握手をした。
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