第3Q


パサッ

服が、床に落ちる。
マネージャーの娘にジャージを貸して貰い、今、誰も居ない部室で着替えている。

別に、誰か居ても良いのに。
そう言ったら、

『や、やめっ、そそそそそれだけはっっっ!』

と、主将…笠松先輩だっけ?…に、全力拒否されたので今に至る。

白無地の生地に、青と黄色のラインが入っているジャージに着替え、髪を結ぶ。
バッシュも履くのは久しぶりで、少し苦労した。ちなみに、バッシュは持参していたのえ、自分のものだ。さらに言うと、私は他人の物を使うというのが苦手だ。特にバッシュなんかは、自分のものでないと、絶対に履けないのだ。

と、無駄話はさておき、何故こうなっているのかを説明しよう。
それは、少し前に遡る…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「今日から、この部のコーチ兼マネージャーになった、林道歩莉だ。ちなみに、担当は一軍及びレギュラー・スタメンだ。今後、練習メニューの変更があると思うが、それに従うように。」

「初めまして、林道歩莉です。今後共々、宜しくお願いします。」

先せ…監督に紹介され、自己紹介をした私。先輩方の反応はそれぞれで、驚いていたり、私の事をじっとみたり、目を輝かせたり…と色々だった。
そして、問題の、私の目的の人が、私に疑問を感じたらしいのも、この時だった。

「へ…歩莉サン?」

信じられない感満載の表情で私を見つめる人。

「なんだ黄瀬、彼女の事知ってんのか?」
「いや…知ってるも何も、先輩たち知らないんスか?!今人気上昇中の若手女優、『百合』って…」
「ああ!!そうか、見たことがあると思った!!」

納得する皆。…別に、知らなくてもいいことなのに。

「…久しぶりッスね。前の撮影以来じゃないっスか。」

コイツ…営業スマイルだ。こっちは覚悟までして此処に来たのに、何営業モードになってんだコイツ。

「…久しぶり、黄瀬涼太。」

けど、此処でそんなことに闘志を燃やしたって意味なんてないのでさらりと交わし、

「…えっと…笠松主将、監督。頼みがあるのですが…」
「なんだ?」
「皆さんの練習を見せて頂きませんか?」
「あ、ああ…別に良いけど……」
「では、行きましょう。」
「………。」
「何?」

コツコツと物事を進めようとすると、私を睨む視線を感じた。
振り替えると、私を睨んでいたのは黄瀬涼太と中村先輩だった。

…ああ、この視線、久し振りだ。


「……。歩莉サン、ひとつ良いっスか?」
「だから何?」

本当は、大体言われることは分かっているけど。

「歩莉サンは、本当にバスケできるんスか?」
「なっ、黄瀬!お前…「大丈夫です、主将。」っ…。」
「…それは、私を信じていない、と言うことで良いの?」
「…っ。」
「別に信じてもらわなくても結構。でも、練習メニューには従ってもらう。ただそれだけよ。それも嫌なら…

私の力を示すのみよ。」

「っ…望むところッスよ。」


* * * * * * * * 




と、言うわけで。


「あの、着替えてきましたけど。」

体育館には、私と黄瀬涼太との1on1を見るために、色々な人が集まっていた。(ちなみに、練習は少し中断。)

「待ってたッスよ。」

コートの中心には、黄瀬涼太が居た。
…さて、どうするか。

「それはどーも。…で、ハンデ必要?」
「……俺は要らないッスよ。歩莉サンの方が必要なんじゃないスか?」

…怒ってるな、笑顔は変わらないけど。
そして、さっきの人……小堀先輩が、ルールを説明してくれた。そして、

「それじゃあ……始めっ!」

笛の音が、体育館に響き、ボールが中に浮いた。





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