小説 | ナノ
Une fête
五月の上旬だというのにじりじりと太陽が照りつける今日この頃。
俺はGWの昼間だというのにいつものバイト先” La mer du nord”(フランス語で「北の海」というらしい)に来ていた。理由は一つ、買い出しだ。
あの飛べない鳥に「このあいだ仕事をさぼってお喋りをしていた罰だ」といわれ、せっかくの休みだというのに仕事を与えられたわけだ。
まあ、確かに仕事をさぼっていた俺が悪い。が、しかし。
あのバンダナはどうなんだよ…!俺だけ買い出しで何であいつはないんだよ!贔屓だ…あの魔女贔屓してる…。
ペンギンに対し、改めてアイツは悪魔だという認識をし、店の扉を開ける。
扉を少し開け、あれ?と疑問が。
何で開いてるんだ?今日は店も休みで誰もいないのだが…まさか、泥棒!?
いや、まさかな…そう思うも、一応ファイティングポーズを取りながら深呼吸し、心の中でカウントを取る。
「(3…2…1…)うらぁぁあぁぁ!!」
「うわぁっ!?」
思いっきり扉を蹴り開けたと同時に驚いた人の声が聞こえた。
声の先には泥棒なんぞおらず、意外な人物がいた。
「あ、て、店長…?」
「な、なんだ、ユースタス屋か…驚かすなよ!」
服の襟部分を掴んで涙目になって怒る店長がいた。あ、その顔可愛い。
涙目の店長に思わずキュンとしつつもとりあえず謝った。
「わ、悪い!人がいないはずなのに扉があいてるから泥棒がいると思ってよ」
「泥棒と間違われたのか、俺は…」
「い、いや、ホントごめん!」
「別に気にしてねぇよ。それより、買い出し行くんだろ?」
「え、あ、ああ」
ん?なんで買い出しに行くこと知ってんだ?
そんな表情をしていたのか、店長は「ペンギンから聞いた」と一言返してきた。
いや、でも折角の休日に何でわざわざ店に…。
「何呆けた面してんだ、行くぞ」
「あ、」
これはつまり、一緒に買い出しに行くってことか…?
え、何それ、デートじゃん。なんかそれデートみたいじゃん。
店長は店の戸締りをし、すたすたと歩き出す。それに少し遅れて後ろを歩く俺。
無言ですたすた歩く俺たち。き、気まずい…!
な、何か話し…あ。
「店長」
「なんだ」
「今日休日なのになんで店に居たんだ?」
「…」
え、無視?
ちょっと待って、話し振った俺の身にもなって!シカトはやめて!マジで!
何か怒らせたか?と思い店長の横に並び顔を覗き込んでみた。ら、
「…お前と一緒に買い出しに行こうとおも、って」
店長、顔、赤いんだけど。
え、じゃあそれって、え?マジ?
「それってつまり、俺と買い出し行くために待ってたってこと?」
そう聞くとコクリ、と無言でうなずかれた。
そんな、行く時間とか決まってないのに?いつ俺が店に来るか分からないのに?
ずっと待っててくれたってこと?
再度店長の赤い顔を確認し、自分も徐々に顔が熱帯びていることに気が付き、慌てて手で口元を覆った。
「えっと、サンキュ」
「…うん」
顔が真っ赤なまま、俺たちは無事買い出しを終えた。
ペンさんには少し感謝しようと思った。
Une fête
(あの魔女も、良いとこあるじゃねぇか)
(ペンギンには行くなと言われたけど、来てよかった)
+++END+++
お久しぶりの更新ですね…うんもうこれ常套句ですね。霧咲です。
今回は前回バンダナさんとお喋りしてた罰で買い出しに行ったキッドさん!
そしてペンさんから情報を聞き出しついて行ったローさん!
買い出しってデートの言い訳にぴったりですよね…ウエッヘ!!(笑)
ローさんとの絡みがあまりなかったので、まあここらでむりくり距離を縮めました。
だんだん両想いになる日は近いですよー!ただペンさんが邪魔に入りますが(笑)
キラーさんとかも出したいんですけどねぇ…どうすっかなぁ…←
では、ここまでお付き合いありがとうございました!
タイトルはフランス語で”休日”らしいですよー。翻訳サイトで適当にやったやつなんで本当かはわかりませんー。(ボソッ)
霧咲
(2012.5.7)
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