小説 | ナノ
彼と男の一週間(4)
(今日のアイツ…なんか変だったな。)
トラファルガーと別れた後、俺は親友のキラーとマックに来ていた。
学校帰りの学生や、カップルなどの声が溢れている店内で俺はアイツのことを思い出していた。
(アイツは…一体何者なんだろう?)
(いつも俺があそこに行くと、必ずトラファルガーが居る)
(アイツだって学生だし、授業に出ないといけないはず、)
(なのに、あそこにいる)
(まさか俺が来るのを先読みしてる…?)
(んなわけねーか、エスパーじゃあるまいし)
そんなことを考えていると、俺の顔を覗き込みながらキラーが声をかける。
「キッド?どうしたんだ、そんな怒った顔して」
眉間にしわが寄っていたのか、キラーは俺が怒っていると感じたのだろう。
気を遣わせてしまったようで少し申し訳ない気持ちが…
「あぁ、怒った顔は生まれつきか」
前言撤回、今俺は怒っている。
「生まれつきで悪かったな!」
ったく!人が真剣に考えてるってのにコイツは!!
キラーはフッと笑うと、真剣な眼差しをこちらに向ける。
「で、何をそんなに思い悩んでいるんだ?中庭に居るという男のことか?」
俺は多分今そうとう間抜けな顔をしていると思う。
そう自分で感じるほど、先程のキラーの発言に驚いた。
コイツ…気づいてたのか。
「なんでそれ…」
「最近、お前がいつもとある友人のところに行ってくると言っていただろう?」
確かに、キラーには友達のところに行ってくるとは言った。
だが、なんで中庭って…。
「で、どんな怖いもの知らずか見たくてお前の後をついて行ったんだ」
「怖いもの知らずって…!」
「こんな怖そうな見た目のキッドの友達になるという男は、俺以外に学校には麦わらぐらいしかいない。だが、麦わらに会いに行くならお前はちゃんと名前を言うだろう?」
俺は言葉に詰まった。
そうだ、確かに学校じゃ俺は不良って恐れられていて、麦わらとキラーぐらいしかつるむ奴はいねぇ。
って、これじゃ俺が友達がいない可哀想なやつじゃねーか!
そんな俺をよそにキラーは話を進めていく。
「で、お前の後をついてって中庭に行ったが…」
そこまで言ってキラーは黙る。
「な、なんだよ?急に黙って…」
何故だか嫌な予感がする。
「実はな…」
そこからは先は聞きたくないと思った。
が、そんな俺の気持ちはお構いなしにキラーは言った。
「あそこには、お前以外の人間は誰もいなかった」
「え…」
その一言にドクドクと心臓の音が速くなり、額から冷や汗が出てきた。
俺以外…いなかった?
そんなバカなことがあるかよ?
だって…アイツは、トラファルガーは確かに…!
「誰もいなかったって…」
んなわけあるかよ!
「あの場には、お前と俺以外の人間はいなかった」
嘘…だろ?
「でも、アイツは…!」
「なぁ、キッド。アイツって誰なんだ?」
キラーは俺の目を真剣な眼差しで見てくる。
そうだ、名前を言えばもしかしたらキラーが知っているかもしれない。
俺は恐る恐るアイツの名前を言った。
「…トラファルガー」
「………」
その名前を聞いたとたん、キラーは鳩が豆鉄砲を食らったような驚いた顔でこちらを見てきた。
「…それは本当か?」
「あぁ。なんで俺がんなこと嘘つかなきゃいけねぇんだよ」
「そうか…」
そう言ってキラーは顔を俯かせる。
「どうしたんだよ?」
声をかけると、キラーは顔を俯かせた状態のまま、俺が想像もしなかったことを口にだした。
「お前があっていたという男、トラファルガーは…」
「二ヶ月前、事故に遭って死んだやつだ」
「は…」
事故…?死んだ…?トラファルガーが……?
「な、何言ってんだよ…嘘だろ?」
分かってる、本当はお前がこんな嘘をつく奴じゃないってことは。
だけど、信じたくなかった。
ここで信じてしまったら、俺は大事なものを失う気がした。
嘘だって、言ってくれよぉ…!
だが、俺の希望を反してキラーはさらに追い打ちをかける。
「嘘ではない、本当だ」
「トラファルガーは二ヶ月前、下校中轢き逃げに遭って死んだ」
「あのときお前は確かインフルエンザで休んでいたから知らないだろうが」
「これは、事実なんだ…」
その言葉を最後に、俺は店から飛び出した。
早く、早くアイツの…トラファルガーのところに行かねぇと…!
アイツが消えちまう…!!
真っ赤な夕日色に染まっている街を俺は駆け抜けていった。
彼と男の危機
(消えないでくれよ…トラファルガー!)
(…!身体が…)
+++END+++
はーいお久しぶり大根!
霧咲です!
今回はキラー初登場!
そしてキッドさんは真実を知ってしまった…!
てなわけですが、ちょっと展開が早すぎるような感じですが、大丈夫でしょうか…?
これじゃ後残り2話で終わるな…。
一週間じゃねぇよコレ!彼と男の一週間なのに一週間経ってねぇよコレ…!
そ、そこは…ね?
学校生活の一週間てことで五日間…みたいな?←おい
次のお話ではキッドさんが来るまでのローさんの独白を書かせてもらいたいと思います!
では、また次回お会いしましょう!!
霧咲
(2011.4.24)
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