小説 | ナノ
彼と男の一週間(3)
彼と会って三日目。
男は桜の根元に座って、風で舞い上がっている桜の花びらを眺めている。
(なんでだろう…)
桜を見ながら、男は彼のことをぼんやりと思い出していた。
(アイツといると…何故だか安心する)
(初めて会ったような気がしないんだよな)
(アイツと会った時、”嬉しく”思った)
(まるでアイツに出逢うのを待っていたような…)
そこまで考えて男は顔を歪め、頭を抱えた。
(なんでだ…ッ!思い出そうとすると頭が…)
「…い!おい!」
「あ?」
男が顔を上げると、彼が走っている姿が男の眼に映った。
「大丈夫か!?」
「少し、目眩がしただけだ…」
「そ、そうか…」
「あぁ。それより、今日も来たんだな」
「ま、まぁ、暇だから…」
「ほぉ?学業サボっといて暇とは良い御身分だな」
「お前だってサボっていつもここに居るじゃねぇかよ!」
「俺とお前じゃ脳味噌の出来が違うんだよ」
「んだと〜!?」
彼の言葉に、男はふと何かを思い出そうとした。
(そうだ、俺もコイツと同じ学生だ…)
(なのに、なんで俺はいつもここに居るんだ?)
(”気がついたら”ここに居るんだ)
(ここに居る時以外の記憶がない)
(コイツ…ユースタス屋に会っている時以外の記憶がない)
(ここ以外の場所の記憶…)
(白い、場所?)
「おい、トラファルガー?」
「ッ!あ、あぁ…なんだ?」
「大丈夫か?顔色悪いぞ?」
「あぁ、大丈夫だ」
「それならいいけどよ…俺これから用事あるからもう行くな」
「用事があるのにそれでも合間を縫って俺に会いに来てくれたのか?」
「う、うるせぇ!」
「フフッ」
右手を振りながら去っていく彼を見送りながら、男は涙を流した。
(そうだ、俺…)
「もう、死んでるんだった…」
彼と男の違い
(トラファルガー…大丈夫かな?)
(全て、思い出したよ…)
なんとか3話更新です…!
2話からだいぶ更新期間が空いてますが…。
さてさて、ついにローさんが全てを思い出しましたね〜!
これからどうなる事やら…私にもわかりません!←
では、これを更新している時期、地震やらで大パニックですが頑張って更新します!
では、ここまで読んで頂き誠に有難うございます!
また次回!
霧咲
(2011.3.14)
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