小説 | ナノ




愛されバレンタイン







2月14日、世の中の男女が浮足立つバレンタイン…。


も、だいぶ過ぎたとある日曜日。


俺は恋人であるユースタス屋に映画に行こうと誘い、今日がその日。
本当は14日にチョコを渡したかったのが、お互い仕事が忙しくてなかなか会えなかったのだ。
まぁ、バレンタイン過ぎてからチョコ渡す奴は結構いるだろうし、大丈夫だろう…けど、どっちを渡せばいいのだろう?


一応…その、手作りチョコというのにも挑戦した(ジュエリー屋が手伝ってくれた)が、どうにもこうにも俺の知っているチョコにならなかった。
で、その作ったチョコの中から一番マシなやつとゴディバのチョコを持ってきた。
やはりこっちの方が美味いだろうし…流石に男が手作りチョコなんて引かれるかもしれないよな。


そんなふうに考えを巡っていると、ユースタス屋の姿が人波から見えた。



「悪ぃ、遅くなっちまった」
「俺も今さっき来たばっかだから」



そっか、と微笑むユースタス屋に見惚れながら、あ、なんか恋人同士だなコレ。とか思う俺。


ユースタス屋って、俺の恋人…なんだよな?まだ付き合い始めで実感がないんだよな。
でも、ユースタス屋の笑った顔とか見てると、俺ってやっぱりユースタス屋のこと好きだなぁ、ってのは思う。


…って、何を考えてるんだ俺は!
あー頭の中からユースタス屋の顔が消えねぇ!!



「…おい、大丈夫か?」



雑念を振り払おうと頭をブンブンと振っているとユースタス屋が心配して俺の顔をのぞき見る。
んー、と唸って俺のおでこに掌を当てる。



「熱は…ねぇみたいだな」
「風邪なんて引いてねぇよ!」
「でも顔が赤いぞ?」



お前のことが好きだって思ってるからだ!…とは言えないしな。
大丈夫だと言ってる俺をよそにユースタス屋は公園で休むぞ、と言い俺の手を引く。
公園のベンチに座らされ、すぐ戻ると一言残して飲み物を買いに向かったユースタス屋。


こんなふうに心配してもらえる俺って愛されてるんだなー。
そう思うと熱い顔がまた一段と熱を帯びたのを感じた。



「ほら、お前はココアで良かったんだよな?」
「ん、ありがと」



冷たいココアを差し出すユースタス屋。俺が猫舌だからホットが苦手なのを覚えていたらしい。
そんなユースタス屋に胸がキュゥってなる。
その時、かばんに手が当たり、かばんの中からカサッと音がした。


そうだ…チョコレート!



「あ、あのさ…」
「んーどした?」


ホットのコーヒー(微糖)のプルタブを開けながら返事をするユースタス屋。
動け…!俺の手と口!!
緊張して震える手と口を無理やり動かし、かばんからチョコを出し一気に言った。



「こ、これ…!」
「…これ、」
「少し遅れたけど…ハッピーバレンタイン」
「…サンキュ」



あれ?あまり喜んでない…?


恥ずかしさで下を向いていた顔を上げると、自身の髪以上に赤いユースタス屋の顔があった。
チョコを持っていない反対の手で一生懸命顔を隠そうとするが、ばっちり見た。



「ユースタス屋…顔、」
「う、うるせぇ!」



照れてる!ユースタス屋が照れてる!
うわーユースタス屋でも照れるんだ!と関心してると、視界に入ったチョコの包装に気がついた。


これ…俺が作った方のやつじゃん!!


どれどれ一口…と、そのチョコを開こうとするユースタス屋。
アカンアカンアカン!



「ちょ、や、やっぱり返して!」
「貰った時点でこのチョコとお前の所有者は俺様だ」
「何そのジャイアニズム!?」



とか言ってるうちに包装紙が全部綺麗にはがされていて、箱のふたが開く。


あぁ…もう駄目だっ!
そう思い目をギュッと強く瞑った。



「これって…手作り?」



そう聞かれ恐る恐る目を開ける。



「そ、うだけど…」



そう言うと、チョコをひとつ摘まんでヒョイと口のなかに入れやがった。



「あーーー!?なに食ってんだよお前!!??」
「んー…」



ゴクリッとチョコが喉を通り過ぎるのを驚きながら見届けたあと、ユースタス屋が俺の顔を見て笑う。



「ん、美味い!」



どうしよう、今俺乙女状態。


嬉しいのと恥ずかしいのと照れるとで、脳がショート寸前の俺の横で次々とチョコを嬉しそうに食すユースタス屋。
口に入れる度に、手作りは予想してなかった、嬉しすぎる、愛されてんなぁ俺、とかニマニマしながらチョコを頬張る姿は若干気色悪い。
でもやっぱり喜んでもらえてこっちも嬉しくなり、なんだかこっちも二ヤケそうだ。




あーやっぱり大好きだなぁ…。






愛されバレンタイン
((てっきり既製品を渡されるんじゃないかと思っていたけど、意外と俺って愛されてるんだなぁ))
((よし、じゃあこのゴディバは俺が食おう))



+++END+++



出来たーーー!!
最近バイトやらなんやらで更新できませんでしたが、遅れながらもなんとかバレンタインキドロ書き上げましたぜヤッフゥー☆

あ、最後の文、というか言葉?は二人の心境を表したものです。

もうとにかく乙女なローさんと愛されてるんだなぁと実感する二人が書きたかったんですよ。
あぁもうキドロたまらんッ…!

ホントはチョコプレイしている二人とかも妄想したんですけどn(ry

読んで頂き有難うございました!!



霧咲
(2011.2.19)

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