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ありがとう





カチッコチッカチッコチッ


俺一人しかいない部屋に時計の音だけが響く。とくにテレビを点けようともしない俺は静かに時計を見つめ続ける。
俺が座っている椅子とセットになっているテーブルの上には先程俺が買ってきたケーキと、日ごろ料理なんて全くしない俺が必死に作った歪な料理が置かれている。
何故こんなことをしたかというと、簡単な答えだ。
今日は一月十日―――…ユースタス屋の誕生日だからだ。


この日のために料理本を買ったり、ケーキの予約をしたり、プレゼントを選んだり…柄じゃねぇのは自分が一番知っている。
でも、その…好きな奴が生まれた日を祝うのは、あ、当たり前だろ?
…って、何独り言で照れてんだろ俺。


カチリッ


あ、ちょうど9時になった。
今日は早めに帰ってこいって言ったのにな…。
アイツ見かけの割には真面目だから、おおかた上司に残業頼まれたとかだろうな。
でも…、



「メールぐらい寄こしてくれたっていいじゃねぇか…バカスタス」



そう呟いてみるも、玄関の方から人が入る気配はない。
刻々と時間だけが過ぎていく。
残業にしてはさすがに遅すぎやしねぇか…?まさか、浮気、とか?
ないないない…それはない!と、信じたいけど…。
アイツ、スーツ姿のとき異常にかっこいいんだもん。髪とかオールバックだし、背が高いからスーツが良く似合うし…。いや、普通のときもかっこいいんだけどよ。でもさ…!


…何考えてるんだ俺は。
変なこと考えてたら眠くなってきた…。
だんだん視界が…。




…―――。
あれから数時間も経っただろうか、俺はいつの間にか寝ていたらしい。
覚醒しきれてない頭で周りの状況を確認した。
料理に手をつけられている形跡はない…まだ帰ってねぇのか。
そう思っていたら、ふいに風呂場のほうから扉の開く音が聞こえた。
俺は椅子から勢いよく立ち上がり、椅子が倒れることも気にせず風呂場に続くリビングの扉の方へと近付いた。
俺がドアノブに手をかけた時、ちょうどそれが回された。


ガチャリ


そこから現れた人物に俺は思い切り飛びついた。



「うぉっ!」
「おっせーんだよ!」
「起きたのか。悪ぃ、急に残業を頼まれてよ…」
「メールぐらい寄こせ、バカ…」
「悪かった…ただいま」
「ん…おかえり」



しょうがないから今回は許してやる!
と、さっさと飯食わねーと。



「ユースタス屋、ご飯温めなおすから椅子に座ってて」
「あぁ」



急いでスープやチキンを温めなおす。
お、チンってなった。もうそろそろいいかな。



「いただきます」
「どうぞ」



飯を口に運ぶユースタス屋を俺はビクビクしながら見つめる。
まずくねぇよな…?
そんな気持ちも込めながら、どう?と聞くと、うまい!って笑顔で答えてくれた。
キュンってなった!今めっちゃキュンってなった!
もう、大好きだ!


そうこうしているうちに飯も食い終わり、日付が変わろうとしてた。



「ユースタス屋」
「ん?」
「お誕生日おめでとう」
「あぁ…ありがとう」
「あと、」
「?」
「生まれてきてくれて、俺と出逢ってくれてありがとう!」
「!! …こっちこそ、ありがとう」



ついに時計の長針が12を指そうとしている。
俺たちは口付け合いながら次の日を迎えた。




来年も、再来年も、ずっとずっと、この日を二人で迎えられますように。




ありがとう
(日付、変わっちゃったけどプレゼント…)
(プレゼントはお前、な?)





+++END+++



なんとかキッド誕小説書けました…!
毎回のことだがどうしてもローさんが乙女になr(ry

キッド誕祝いということで、こちらの小説はお持ち帰り自由とさせていただきます。
もしサイトに載せる場合は、こちらのサイト名か私の名前をコソッと書いてください。
夜中に書き上げたのでなんだか意味不明な文になっていますが、良かったらどうぞ!!

最後に一つ!
キッドくん誕生日おめでとう&生まれてきてくれてありがとう!!!

霧咲
(2011.1.15)

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