Freeze | ナノ


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 世界を比較したりという議論の末、異世界人(仮)と認定されたツナ。現在はウソップによる尋問を受けている。

「沢田綱吉14歳、えっと……(マフィアの事言わなきゃ……)去年、マフィアの時期ボス候補と知らされたけど、マフィアになるつもりはなくて、でもヒットマンの家庭教師が来てボスになるように言われてる……」
「マフィア!? と、特技は?」ビクリとするも、尋問を続けるウソップ。
「……、特に無い……」
「え?」

 きょとんとして首をかしげる。

「オレって昔っから何をやってもダメダメなんだ……」ツナは俯いて言う。
「戦えねェのか!?」
「一応、戦えます」
「武器は?」

 ざばっ
 ツナが答えようと口を開いた時、海から巨大な猿顔の生物達が現れた。

「逃げろ── シーモンキーだ!」
「ひぃっ、何アレ──!?」
「ついてきやがったのかーっ!?」
「まずい! 風がねェーっ!」
「すぐに帆をたたんで!」
「漕ぐんだ、漕げ〜〜っ!」

 クルーは表情を変え、叫んで一斉に動きだす。

「緊急報告! 緊急報告! 12時の方角に船発見!」

 ウソップが叫ぶ。

「何だ敵か!?」
「こんな時に〜っ!?」
「敵って海賊!?」
「いや……それが旗≠烽ヒェ帆≠烽ヒェ! 何の船だか……」
「なんだそりゃ。何も掲げてねぇ〜? 何の為に海にいるんだ!?」
「分からねェ……! それより乗ってるクルーが異様に少ねェし……それに……! すげェ勢いでイジけてるぞ! まるで生気を感じねェ!」
「どういうこった!? 大丈夫かあの船!?」
「このままじゃ波にのまれちゃうんじゃ……」

 船を必死に漕ぎながらツナも口を開く。
 ルフィは親切にもその船に注意を呼び掛けるが、まとまりが全くなく、波を避けるか宝を奪うか、それぞれが思い思いに行動していて、とうとう波にのまれてしまった。
 それから、メリー号は無事に乗りきった。

「ふー、おさまったか……」
「──というよりあの大波はシーモンキーのいたずらよ」
(シーモンキーっていったい何!? あんなのがこの世界にはいっぱいいるのー!?)
「温度も気温もずいぶん安定してるから、もう次の気候海域に入ったんじゃないかしら」
「おいロビン、なんか見えるか?」
「島がずっと見えてるわ」
「「言えよそういうことは!!」」

 おいーっ! とツッコむルフィとウソップ。島が見えた時の反応をロビンに教えるが、ロビンは無視してわりと霧が深いわ、と言った。ナミはチョッパーに前方確認を任せ、ルフィはなおも言う。

「お前なァ、おれ達がどれだけ島を楽しみにしてると思ってんだ!?」
「ごめんなさい気をつけるわ」
「そうか、気をつけるならいいや」笑って返すロビンにルフィはあっさりと引き下がる。
「ところで……さっきの船気にならねェか?」

 ウソップが口を開き、先程の船の異様さをゾロやサンジに訴えるが、大して気にされない。

「……悪い予感がするぜ……」

 腕組みして言うウソップにいつもそうだろ、とサンジが言った。
いい町や造船所があるか、いい船大工がいるか楽しみにしながらイカリの準備。ウソップの島に入ってはいけない病は却下された。



 そして見えた島というものは。

「……!」
「何もねぇ〜〜っ!!」

 見渡す限り草原だった。
 がっくりするサンジ、人は住んでいるのかしら、とロビン。ルフィ、ウソップ、チョッパーはさっそく上陸して歩き出す。呆れるナミ。

「これだけ見えすいてりゃ危険もねぇだろ」ゾロがイカリをおろしながら言った。




 しばらくして残りのクルーがが上陸し、行動を始めた時だった。

「何だお前ら……!」
「……」
「やるんなら降りて来い!」
「何のつもり……!?」
「一体何ー!?」

 現れた船がメリー号の行く手を封鎖した。

「さっさと出て来い、相手になるぞ!!」
「我々はフォクシー海賊団
早まるな、我らの望みは……決闘≠セ!!」

 デービーバックファイト──それは船長同士の合意の瞬間始まる海賊のゲーム。賭ける獲物は仲間≠ニ誇り=Aいわば人取り合戦≠セ。貰われたクルーは速やかに敵の船長の忠実な部下となる。泣けどわめけど首を縦に振ればクルーは全員ゲームの参加者となる。海賊の世界では暗黙のルール。逃げ出せばこの世界で大恥をかくことになる。

「いいじゃない恥かくくらい!」

 とナミが言う。

「生き恥さらすくらいなら死ぬ方がいい」
「右に同じ」ゾロの意見に賛同するサンジ。
「な、何だよそれ……! 死んだら全部終わりなのに、そんな簡単に……っ!」

 沈黙を守っていたツナが初めて口を開いた。

「ムダだ、あがくな、船長同士が同時に撃つ2発の銃声が開幕の合図!」

 敵の1人が言う。

「大人しく……」

 ドン、ドォ……ン

「え!?」

 2発の銃声が響いた。

「まさか……!」
「あ〜あ〜受けやがった……」
「望むところだ……」
「面白そうね……」
「………」

「ゲームを受諾した〜〜〜〜ァ!!」

 ウォォォ、と歓声を上げる敵船クルーたち。

「大丈夫よ、あいつら化物のみたいに強いのよ。絶対に勝つし、もちろん死んだりしないわ」

 ツナはゲームで負けることを心配していると思ったナミが、ポンポンとツナの頭を叩いた。

「……うん」

 かくしてデービーバックファイトが始まった。第一回戦、「ドーナツレース」の出場者はナミ・ロビン・ウソップ、第二回戦「グロッキーリング」の出場者はゾロ・サンジ・チョッパー、第三回戦「コンバット」の出場者はルフィ。ツナは「弱そう」と言う理由で見学(オレって……)だ。

 ドーナツレース。邪魔あり、妨害あり、魚あり。何でもありのレースをハラハラしながら見るツナ。因みに悪魔の実については説明を受けている(船でチョッパーが喋ったときだ)のでショックはまだ少ない。徐々に世界に順応中。
 ゴール目前、ナミたちのタルタイガー号がリードしている。その後ろをフォクシーチームのキューティーワゴン号が追い上げる。

「ナミ達が勝ってるぞ!!」
「やったー!!」
「よかった……」
「んナミさ〜んVロビンちゃ〜んVスピーディーな君達も素敵だ〜〜V」

 しかし、フォクシーが怪しげに動いている。

「おい! おめェら! てこずらせてくれたな!」
「またあいつ」

 フォクシーの度重なる妨害は失敗していた。

「おしかったなお前達」
「何で!? 勝ってるだろ!」ルフィが言う。
「ノロノロビ──ム=I!」
「!!?」

「勝者! キューティーワゴン号!」

 アナウンスが響いた。
 フォクシーの手から光を浴び、ナミ達とその周りの全ての動きが遅くなり、全て元通りになったときにはもう、敵はゴールしていた。仲間を心配し、不思議がる麦わらの一味のもとへフォクシーがやってきた。

「フェーッフェッフェッ……何も不思議がる事ァねェよ。その原因はノロマ光子=I!」
「おいてめェ、ナミさん達に何しやがったんだ!!」
「ノロマ光子≠セと……?」
「この世に存在するまだまだ未知の粒子だ! この光を受けたものは生物でも液体でも気体でも……! 他の全てのエネルギーを残したまま物理的に一定の速度≠失う!!」
「わからん!! バカかお前!!」スッパリとルフィが切り捨てる。
「逆ギレだ……」
「いやんオヤビン!!」
 フォクシーは大げさにガクンと膝をついて落ち込んでいる。

「なるほど……(高純度の雨の炎みたいなものか)」

 1人納得するツナ。そして野球少年を思い出す。その場から少し離れ、友達のことを思った。

「帰らなきゃ……」

 小さく呟いてぎゅっとボンゴレリングとアニマルリングを握る。ガォ、と小さくナッツが鳴いた。

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