紋章方陣世界ヴェルグラト
Endless Parts 朽ちかけの街の世界観

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地下世界「エファピア」

地流エネルギーと紋陣


枯れ果てた大地と海、暗獣


主な種族「知の盟族(ウィズダム)」


発電所
・フゼッツエムス発電所地区


地下世界「エファピア」


 世界が暗闇に覆われ、空に堅牢な天蓋と、それを支える巨大な岩の柱、天柱(エングラサード)がそびえる地下世界。それがエファピアだ。
 かつて陽の光に照らされた大地は暗闇に閉ざされ、生き物は暗闇の中でも生きていける獣達を中心に繁栄。人間達は技術を駆使して造り上げた発電所の明かりを頼りに、エネルギー供給が行われる地域でのみ生活することを余儀なくされている。
 その発電所も、大昔に作られ、今現存する技術では新たな発電所を作るどころか、稼働する発電所の修繕もままならない。
 発電所が機能を停止することで人間の社会はどんどんと停滞、退廃していき、今残る発電所も残りわずか。
 発電所の力を永遠のものにすると言われる永久駆動機関(エンドレスパーツ)を探し求める人々が、冒険者として活躍する世界である。

枯れ果てた大地と海、暗獣


 暗闇に覆われた世界からは多くの動植物たちが死滅した。その中で生き残った生き物達は、さらに枯渇しつつある水を求めて移動し、肉食獣達は暗闇の中生き物を狩る事で水を得ることにたどり着いた。
 暗獣達はその子孫であり、目は退化して、鼻と牙、爪、足が異常に発達した獣だ。
 空を巨大な天蓋が覆ったために、太陽熱の循環がなくなって降らなくなった雨。水蒸気は延々と上空に上り続け、川や湖は枯れ果て、海は干からびつつある。
 植物達は光が少なくとも生きていけるよう、自らを進化させ動くようになったものもいれば、人間の目には分からない僅かな光で光合成をおこなう植物も登場した。
 そうして進化を重ね、現在は暗獣と並び、人々の脅威かつ、貴重な資源となっている。

地流エネルギーと紋陣


 大地を巡る星の魔法的エネルギー、それが地流エネルギーと呼ばれている。星のマントル帯より流れ、巡っているというエネルギーは、地表を通じて空へも放たれている。地流エネルギーは大地を通じて生き物へも流れ込み、大気や地上に潤い、つまり自然の繁栄を与える。
 地流エネルギーを吸収、さらに変換し、魔法として扱えるようにしたのが、紋様による魔法陣、「紋陣(エリア)」だ。
 火を熾す、発光により周囲を照らす、結界を張り、外敵から身を守る。水をどこからともなく湧かせる。力を高めさせるなど。
 紋様のパターンで規模や魔法の性質を定め、言葉の発生と術者が流した地流エネルギーにより、魔法が発動する仕組みとなっている。
 そのため、紋様さえ途切れなければ永続的な魔法の行使も可能と言われている。その技術の結晶が発電所であり、古代の遺産である。
 紋陣を操る知識に精通する人々を紋陣師(エディター)と呼び、彼らの技術は発電所や各地で必要とされている。

主な種族「知の盟族(ウィズダム)」


 知の盟族は、人間を含め、彼らと同じかそれ以上、近しい社会性や知性を備えた種族達で結ばれた同盟だ。
・人間
 知の盟族中、最も数が多い種族と言われていた。しかし空が天蓋に覆われて以降、最も数が減り続けている種族となっている。光を頼りに世界を認知しているため、発電所の傍以外中々動けずにいる。
 灰色や銀の髪が多い。
・ダーン民族
 人間の中でも、暗闇の世界に身を投じた人々の子孫。獣のように爪や牙で戦う。髪の色は黒、目は明るい場所では琥珀のような金色、暗い場所ではブラックオニキスのような黒になる。鼻が非常にきき、得物を狩る時には脅威のパワーでねじ伏せる。生き残りはほぼいないと言われている。
・デルマスフ
 人間に近しい容姿の種族。一つのことをやらせるととにかく究めたがる、好奇心旺盛なスペシャリスト集団。しかし自分の興味のないことは点で苦手。多くが武術や紋陣を究めんと、各地を放浪している。金髪や緑髪が多い。
・ムムグム
 闇の化身と言われる種族。人間やデルマスフ達の間では、彼らに出会うと殺され食われると語り継がれている、絵本の中の存在。
 髪がなく、目も鼻も退化した顔。薄紫色のすべすべとした、ひょろ長い手足を持つ。目には包帯を巻き、そこに紋様が描かれている。

発電所


 地流エネルギーが特に濃く噴き出している地点からエネルギーを吸収、変換し、各都市に供給しているのが発電所だ。エネルギーを用いて、暗闇の中活動する獣達「暗獣」らから身を守る結界を張っており、都市の安全を守る役目も果たす。
 地流エネルギーは川の流れのように、年月を経るうちに流れる場所を変えてしまう。そのため機能を停止する発電所も存在する。
 現在無事に稼働している発電所は、輝珀達がいるフゼッツエムス発電所地区を含め二十基のみである。
 発電所は、膝元である都市の周辺に、大なり小なり十数もの都市にエネルギーを供給できる。
 作中出ている発電所の名前は、現在以下の通り。
 フゼッツエムス
  輝珀達が旅立った都市セナーデイムを有する発電所。爆発を起こし機能停止した(後述)。
 リバルリア
  東央地域唯一の発電所。東央地域の中心よりやや北に位置する。世界で縮小しきってしまった「海」や「湖」を周囲に抱える。東にさらに進むとイヴァンダム遺跡群がある。
 デヒス
  リバルリアの南東に位置する発電所。天柱の傍に存在する。発電所の周辺は非常にけわしい剣山のような山脈がそびえている。デヒスの噂は耳にするも、実態は誰も掴んでいない。
 ゲナンシャード
  フゼッツエムスより北西に三月ほど進んだ先にある発電所。元々極北の地域だったため、日照時間が少なくとも育つ植物に恵まれている地域。暗獣が少ない地域としても知られている。
 ウォグハバ
  ゲナンシャード発電所のはるか南に位置する発電所。絶望の壁と呼ばれる崖が地区内に存在する。世界に罰を下すべく、天蓋を広げたという天使から天命を告げられたと言われる伝説の土地。
 アームンゼイア
  発電所の中でも、唯一希望を冠する灯台を中心に都市が発展する地区。発電所の周囲は都市がないため、周囲の都市から人員が送られている。伝説の聖地(フェウシア)が眠るとされる大樹海を北に抱える。これだけの情報があるにもかかわらず、発電所の位置が判明していない。

・フゼッツエムス発電所地区


 輝珀達が住むフゼッツエムス発電所地区は、発電所があるフゼッツエムスを含め、ドーンヘイツ市と、都市セナーデイム、計三つの都市を有している。都市フゼッツエムスのはるか南には天柱が存在。
 輝珀達が住んでいたセナーデイムは、地区の中心となるフゼッツエムスより北西。フゼッツエムスより東にドーンヘイツがあり、そのさらに先は暗闇で閉ざされた世界が広がる。
 さらに東に進むと東央地域と呼ばれる、水がほぼない石ばかりの大平野があり、大平野を抜けた先にイヴァンダム遺跡群がある。

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