▼ ▲ ▼

『お疲れ様』
「おう」
『白龍の人たちびっくりしてたよ。あいつ速いって』
「まじか、ヒャハ!」

初回に倉持と、久しぶりに2番で起用された小湊くんが早々に先制点をもぎとった。倉持が白龍に負けず劣らずの走塁をみせ観客をどよめかせていた。栄純がなぜかドヤ顔で観客に倉持をアピールしていたことを思い出して笑いそうになってしまった。

その栄純もランナーを背負いながらも最後まで粘り強く投げきり、6回には御幸を始め白州、ゾノ、麻生の3年生がつなぎ2点を追加し、結果3-1で勝利を収めた。続く第2試合も勝ち、GWはこれで4連勝。

練習試合でも勝つのは嬉しくて、ほくほくした気持ちで倉持と荷物を持って移動していると、こちらを見ながら何か話したそうに白龍の美馬くんが立っていた。

「……」
『え、っと美馬くん?どうかした?』
「…LINEやってる?」
『は?』
「なんでだよ」
「…俺はお前に聞いてない」
「あ?」
『く、倉持態度悪いよ!ごめんね美馬くん』
「いや、いい。それよりLINEやってる?」
『やってるけど…わたし?』
「そう。あんた」

御幸に聞いていたのは知っていたけど、まさかわたしにも聞いてくるとは思ってもいなくて、うまく返事ができずにいたところ、隣にいた倉持が喧嘩腰で応答していた。美馬くんの雰囲気がすごくてスマホをポケットから出そうとしたところ、わたしの少し前に出た倉持が美馬くんに何か伝えていた。

それに驚いたような顔をした美馬くんは、「…それなら仕方ない」と言ってその場を去っていった。

『…倉持何言ったの?』
「さあな」

倉持はニヤリと笑って「さっさと行くぞ」とわたしの頭に自分の帽子をかぶせてスタスタと歩いていく。

『ちょ、どういうこと!?』

被せられた帽子は少しだけ大きくて、外れないように抑えながら倉持の背中を追いかけていく。最近倉持の行動にいちいちドキドキさせられて、不本意だ。

▼▲▼

「倉持くーん」
「あ?」

東京に戻るバスの中、さっきアドレスを交換したばかりの美馬とメールをしていた御幸。大抵のことでは驚かない彼が少し動揺した様子で隣の倉持に話しかけていた。

「これ何?」

御幸が倉持に見せた携帯の画面には、"ベンチにいたマネとショートの倉持は付き合っているのか?おかげで連絡先を聞けなかった"という内容のメール。

「…なんか悪ィかよ」
「悪いに決まってんじゃん」
「白龍のやつらにこう伝わるじゃん」
「断る理由ほかに思いつかなかったんだよ」
「なまえこれ知ってんの?」
「知らねぇ」
「…むかつく」
「ヒャハ、珍しいなお前がそういうの」
「…仕方ねぇだろ」
「つかこれに俺どう返せばいいの?」
「ヒャハ、本当だって返せばいいだろ」
「はっはっは、ふざけんな」
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