▼違和感

目が覚めたら体が縮んでいた!をリアル体験しました。 どうも名字名前です。 誰に自己紹介してんだってな。


訳がわからなすぎて床を転がるしかできない。 俺が何をしたって言うんだよ…。
ただのタイムスリップだったらまだよかった。 前より良い未来にしてやるぜっ!くらいにしか思わなかったのに。
実際はどうだ。 過去は過去でも俺の知っているものと違う。 本当に俺なのかすら疑わしい。
同姓同名なだけ? いや、この部屋は確実に自分のものだ。ここら辺の物の散らばり方がそう。 絶対俺。 …じゃあ知り合いは? 学校は?


「ってそうだ!学校!」


体が高校生なら確実にある授業。 今日が土日祝日でない限りは。
転がっていた床から跳ね起き、スマホを見る。 カレンダーに表示されていた日時は、西暦や曜日に違いはあれど、寝るまで認知していた日付とほぼ同じ。 そして曜日は金曜日。 平日じゃん! 学校あるじゃん!?
既に冷や汗もの。 無駄な抵抗と知りつつも、スマホを遠ざけ薄目で画面の右上の時刻を確認する。 デジタル表示されているそれは、無情にも8時に差し掛かろうとしていた。

高校の場所に変化がなければ、最寄りから電車で20分。 自宅から駅までは歩いて15分。 駅から高校までは…。脳内の時計の針をぐいんぐいん動かす。 つまりそろそろ出ないと…?


「完全に遅刻するやつだ、これ」


そこからは怒涛の勢いで支度した。 駅までもダッシュだ。
家を出る前、リビングに顔を出したが両親ともに知っているままだった。 少し若くなったなくらい。
ただ何故か俺を見てすごく驚いていた。 俺と同じで記憶があるのかと思えば、それとも違うようで。
ただただ俺が学校に行くのが驚きですって顔。 いや、確かにあんまり朝強くないし、普通の人間なんでめんどくせえって思ってるけど。 学生なんだから行くだろ?


なんだか疑問が増えた気がするけれども、今の最優先事項は学校で、時間との戦いだ。
満員電車に駆け込み、人に圧迫されながらなんとか高校の最寄りに着いた。
人がひしめく池袋。 この何割が埼玉県民とか何時だかやってた気がするが、何割だったか。 まあいいや。 高校までもダッシュを決めねば。


俺は風になる!と言わんばかりにスピードを上げる。 この体、とても運動神経が良いぞ。 やっぱり俺じゃないのか?
この際、間に合うのならいいか。 朝から走りすぎて流石に酸欠で頭が回りにくい。

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